2012年、猿八座は能舞台で幕を開けます。ご期待下さい。
皆様、良いお年をお迎え下さい。
説経語り: 薩摩 若大夫 三味線: 京屋 惹 人形: 猿八座
和泉の国(現在の大阪府)、信太の森近くに、ひっそり暮らす家族があった。秋の一日、夫、安倍保名は畑を耕しに、今日も野良へ出かけた。妻は七つになる安倍の童子(成人して陰陽師安倍晴明になる)を寝かしつけ、はたを織り始めるが、庭に咲き乱れる菊の花に見とれるうち、うっかりその本性を現してしまう。実は妻は、以前保名が命を助けた狐の化身であった。目を覚した童子に狐の姿を見られた妻は、最早人間界にとどまる事を許されない。夫と我が子への尽きぬ思いを一首の歌に残し、妻は泣く泣く信太の森へ帰って行く。
恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉
あきらめきれぬ父子は葛の葉の姿を求め、日の暮れた森をさまようが見付ける事が出来ず、悲嘆のあまり自害しようとする。そこに狐が現れ、再び葛の葉の姿となって童子に形見の品を与える。成人した童子はその形見の不思議な力で、帝の病の原因をつきとめ、宮廷お抱えの陰陽師となる。