猿八座 Saruhachi-za

佐渡の人形遣いの独り言

追悼 鳥越文藏先生

2021-04-08 11:15:38 | 日記

4月5日、恩師・鳥越文藏先生が亡くなられた。ご冥福をお祈りする。大学の演劇科、中退して入門した文楽、文弥人形に惹かれて移住した佐渡、思い切って進んだ遥か遠くの世界は、お釈迦様の掌の如く全て先生の研究分野であった。1998年、私が住む佐渡の山里、猿八に「鳥越文庫」が出来たことで止めを刺された感がある。主に近世演劇関連の蔵書2万数千冊は一生かけても読み切れない。先生が大英博物館で発見された古浄瑠璃『弘知法印御伝記』を初演した時は「上演してみると面白いね」と仰って下さった。最後に御目にかかった昨年2月、『説経・をぐり』を稽古中とお伝えすると「東京で上演するなら劇場を紹介しよう」と仰って下さったが、旅立たれてしまった。鳥越文庫と私の中で先生は生きている。これからもどのような解答を下さるか難題を問いかけてみたい。

  

2008年6月新潟市音楽文化会館練習室で『弘知法印御伝記』の稽古をご覧になった先生に全座員の芸名を付けていただいた。当時の座員、永野八尋、堀八島、逸見八里、高橋八重、金子与八が今も活動中。