「日本三大夜桜」の一つと称される上越市高田公園の観桜会とともに、上越市の名物になりつつある猿八座の「山椒太夫」公演。国の登録有形文化財に指定されている日本最古級の現役映画館の舞台で、今年も上演させていただきます。公演チラシが出来ました。皆様のご来場をお待ちしております。
これまで猿八座の公演を監修していただいた、仏教美術がご専門の上越教育大学の川村知行先生が間も無く定年退官を迎えられます。去る2月27日、川村先生の最終講義が上越教育大学で行われ、講義中に猿八座の「山椒太夫」-国分寺の段ーの一場を上演させていただきました。最終講義のテーマは図像学から見た上杉謙信と真言密教。護摩壇を前に密教の呪文を唱えていた謙信公を彷彿とさせることは出来ませんが、山椒太夫の館を逃れ、追われる厨子王を匿った丹後国分寺の住持が、厨子王を追って来たきた山椒太夫一門の前で、厨子王を匿っていない証に、日本中の神仏にかけて嘘偽りは無いと「大誓文」を詠み上げる場です。この場を上演するにあたり、永年、川村先生が調査なさった東大寺二月堂の修二会(お水取り)が参考になると、御教示いただきました。「お水取り」の中に日本国中の神仏を延々と詠みあげる同様の儀式があるのです。「猿八座」は信仰と芸能が密接に関わっていた時代の人形浄瑠璃を再現して、皆様とともに、今、求められている人の道を探っているのかもしれません。