「人の疫れい、泥の海へさしのけい!」~杭全神社・御田植神事2020
約650年継承されている杭全神社の御田植神事だが、新型コロナウイルスの影響で本年度は無観客及び最低限のご奉仕者により、例年通り、4月13日に執り行われた。
私も昨年まで、6年にわたり、ご奉仕させていただいていたが、本年は自粛と相成った。
4.13:御田植神事 現在コロナウイルス禍によりホボ色々な行事が自粛となって居る中、杭全神社に於いて約650年の歴史を繫ぐ神事奉納を行う事が出来ました。・奉納者;シテ・地方・神官・後見各1名と神社側;宮司様、禰宜様で総計6名にて神社大門閉門の上、風雨の中拝殿全開にての奉納でありました。
シテの台詞一節に『牛のやまふ、人のゑきれ以、萬あしき事熊野乃奥能泥の海へさしのけ以』;豊作の予祝台詞と共に疫病退散が語られて居ります。杭全神社は旧くは祇園社・権現社と呼ばれていましたが貞観4年に牛頭天皇が勧進され祇園社が祀られ、建久元年熊野の山伏が役小角の彫った熊野本宮証誠大権現の尊形が入った笈をもたらし、熊野権現を祀ったのがその謂れであります。 (藤岡様のFB記事から拝借)
上記記事にもありますように、私も「牛の病、人の疫れい、よろず悪しきこと、熊野の奥の泥の海へさしのけい!」とのシテの台詞が大好きでありましたが、今年ほど、この言霊に勇気づけられたことはありません。
※疫癘(えきれい):悪性の流行病。疫病。
人より、牛の方が先に来るところが、いかにも農耕民族らしく微笑ましいですね。
(上記5葉の画像は後見人の藤岡様より、いただきました。)
下記は過去写真と動画でありますが、あの名セリフを今、再たび、ご鑑賞ください。
シテは田を鋤く前に農耕の大切なパートナー、牛さんと会話をします。
シテ「西宮の尉(ぜぜ)が」
牛=地方が代弁「月に三度の雨、月々(2ヶ月)に六度の雨、モオーウ」
「西宮の尉」とは、雨乞いの祈祷をする人ではないかということです。
ここで、シテが名台詞を発します。
「牛のやまう(病)、人のえきれい、萬(よろず)悪しきこと、熊野の奥の泥の海へさしのけい」
庶民の幸せを願う気持ちが強く顕れていて、何だか、ほっこりとした気持ちになります。
シテは「させい、ひょうせい、ひょうせい」と繰り返しながら、牛を引き、唐鋤で田を鋤きながら拝殿をゆっくりと廻ります。
このパートは2幕目ともいうべきシーンです。
ご興味ある方は、こちらの全シーン解説をどうぞ。
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