昨日のブログで4日にみた映画「沈まぬ太陽」のことを書きました。映画館に行った時間と上映開始時間に1時間以上もあったので、隣のビルの本屋に入って時間をつぶしました。紀伊国屋書店です。仙台には紀伊国屋書店は二箇所にあります。全国展開している大きな本屋です。
紀伊国屋書店との最初の出会いは、かれこれ40年近くも前となりますか。大阪は梅田、阪急のビルの1階にありました。若い頃は本屋があるとついつい入ってみたくなったもので、そうなると時間はあっという間になくなってしまいます。その時は、日本にこんなにも大きい本屋があるのかと驚いたものです。入ったのはいいけど、いろいろ物色しているうちに迷って出るに出られなくなってしまいました。田舎者でしたが、方向音痴気味でもあったためでしょうか。
梅田といえば、御堂筋に面して別の大きな本屋、旭屋書店もありました。こちらはあまり大きくはない数階建てのビルにあり、そのビルの3階か4階分の面積を占めていました。階ごとに配列されている本の種類が違いますので、こちらの本屋の方が探しやすく、親しみが持てました。本屋は大きければ大きいほどいいとは限りません。ワンフロアよりも2階なり3階分を占める本屋の方がすきですね。そんな訳で、会社の帰りによる本屋は旭屋書店となりました。
話しが脱線してしまいました。
ここの書店はワンフロアだけですが、たまにしか行かないためにどこにどんな本が並べられているのか分からず、新書や文庫がどこに配架されているのか探すのに苦労します。そのとき購入した新書の一つが「昭和の遺書・・・55人の魂の記録」(梯 久美子著)でした。
今少しずつ読み始めていますが、目次に”日航機墜落事故・河口博次、谷口正勝”という項目がありました。二人は、映画の冒頭シーンに出てきた御巣鷹山へ墜落した日航機に乗っていた客で、落下していく飛行機の中で家族宛に書いた”遺書”が掲載されています。当然映画の中でも紹介されていました。その遺書の内容を、新聞等でご覧になった人も多いかと思います。家族愛に溢れた、涙をさそう、悔しさ漂う遺書です。
『マリコ、津慶 知代子、どうか仲良くがんばってママをたすけて下さい パパは本当に残念だ、きっと助かるまい 原因は分からない 今5分たった もう飛行機には乗りたくない どうか神様たすけてください
きのうみんなと食事したのは最后とは 何か機内で爆発したような形で煙が出て降下しだした どこえどうなるのか 津慶しっかりた(の)んだぞ
ママ こんな事になるとは残念だ さようなら 子供達の事をよろしくたのむ 今六時半だ、飛行機はまわりながら急速に降下中だ 本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している』 (河口博次さん 当時52歳)
社員手帳七ページにわたって記されていたとのことです。
『まち子 子供よろしく 大阪みのお 谷口正勝 630』 (当時40歳)防水された袋に書いたそうで、その中には自動車の免許証が入れられていたそうです。よくこんな極限状況下で冷静に判断したものです。
改めてご冥福をお祈りします。 合掌