今週は”障害者週間”だそうです。
障害者自立支援法という法律で、障害のある人も地域で暮らせる社会づくりを目指すということですが、自己負担が増えて生活が出来ないという声も大きくなっています。
法律の目指す方向性はいいとは思いますが、果たして受け入れる側、地域がすんなりと受け入れられるかどうか、全てはそれにかかっているといえると思います。
佐賀県で起きた事件を記憶しているでしょうか。25歳の知的障害を持つ青年が、警官の暴行により(警察はもちろんそうは言っていませんが)死亡した事件です。
自転車で蛇行運転している青年をパトカーが見つけ、マイクで停止を求めたものの、指示に従わず走り続け、信号で止まっているバイクに追突して転倒し、逃げようとしたために警官が取り押さえたものです。これを「保護」というらしいです。
しかし、急に青年の意識がなくなり、救急車で病院に搬送したが死亡しました。
遺体を確認した父親は、遺体の症状から「殴られて死んだ」と感じたそうです。死因は「急性心臓死」とのこと。
しかし、警察発表と目撃者の証言は大きく食い違っているそうです。警察は「殴ってはいない」といい、複数の目撃者(両親が捜した)は「後ろ手に手錠をかけられて5人の警官に殴られていた」といいます。
目撃者は警察にも「警官が殴っていた」と話したそうですが、それは調書には記述されなかったそうです。
この青年は知的障害を持ち、授産施設で作業をしていました。170センチ、90キロという大柄な青年でした。しかし、耳が聞こえにくく、言葉も出にくかったし、話しをするというよりは単語のやり取りだったそうです。そして、将来の夢は皮肉なことに「警察官になりたい」ことだったとか。
この事件に対して、佐賀県の授産施設協議会は、警察への質問書や声明文を提出したのですが、その中で「警察官が知的障害者の特性を少しでも認識していれば、このような悲惨な事件は起きなかった」と、障害者への理解を求めているそうです。
この事件はあまりに象徴的な事件(知的障害者が地域に受け入れてもらえるかということと、警察への不信感)といえるかもしれませんが、この頃の警察の不祥事を見るにつけ、みなさんは警察のいうことをそのまま信じますか。信じてもいいようなことを警察はしていますか。警官がらみの事件がおきると、何が何でも身内を守ろう、組織を守ろうということに腐心しているのが現状ではないですか。
そのことについてはこれからもいろいろ書いていきたいと思っていますが、思い出すのは10年以上にになりますか、自宅の道路向かいの店の自動販売機での出来事です。
たばこと飲物の自動販売機が置かれているのですが、飲物の方の自販機からお金を取ろうとしている人がいるということで、店の人が110番して警官を呼んだのです。
たまたま私もその現場を目撃したのですが、そのときの警官、制服の警官ではなかったので、刑事かもしれませんが、二人の刑事の容疑者に対する行動、取り扱いはビックリするくらいでした。
佐賀県の事件とは異なり、ほとんど抵抗らしい抵抗はしなかったのに、その取り押さえ方のすごかったこと、殴りはしなかったが、両側から押さえつけ膝蹴りを食らわせたりして完全に制圧しました。あっという間の出来事でしたが、見ているこっちの方が心臓がバクバクしました。
後で聞いたところによると、この青年も知的障害があったということです。自販機をこじ開けたりして、お金を盗もうということなんかではなかったようですし、せいぜいつり銭を拾おうとかいう程度だったのではないかと思うのですが、怪しい素振りを見せていたのは確かでしょう。
同じ障害を持っていても、身体障害なら誰もが外見からわかるし、知的障害でも雰囲気で分かるのではないでしょうか。
たまたま知的障害をもつ青年ということで書かせてもらいましたが、障害者が日本の社会で差別と関係なく生活していくというのは本当に大変なことだということを、自戒も含めて思い出すまま書いてしまいました。