MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

<22>コミュニケーションの4Pってなに?

2005-11-10 | 第三部:実戦で交渉に勝つコツは?
準備が終われば、さあいざ交渉の始まりです。
さて、交渉の場に実際に出てみると最初に試されるのは、相手とどういうコミュニケーションをとるか、です。
効果的な話し方についてはいろいろな手法やハウツー本が世の中に出回っていますが、今回はビジネススクールで特に取り上げていた「話し方の定石」について説明します。

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-どんな話し方をしたら交渉で有利になるんだろう?

MBAで交渉実習をしているときに悩んだ点です。
英語でやる難しさがあるのはもちろんですが、それ以上にどんな態度や姿勢を見せたらいいものか試行錯誤を繰り返したものでした。
ある講義では、「コミュニケーションの4P」なる概念を紹介していました。
それぞれの頭文字がPなので四つの要素を4Pと呼んで覚えやすくしてあります。
この四つの要素が、交渉でのコミュニケーションで忘れちゃいけない重要なカギだというわけです。
今回はこの4Pの概念を取り上げて、簡単におさらいして見てみましょう。

まず、4Pとはそれぞれ何でしょうか。
並べてみると以下の四つになります。

1. Purpose
2. Product
3. People
4. Process

以下、順に一つずつ見てみましょう。


1. Purpose (目的)

なんのためにその相手と話をするのか、そもそもの目的のことです。

相手と話す際には、どんなことを達成したいのかあらかじめ頭の中で明確にしておくことが重要です。
話し合いが終わって席を立つ自分を想像して、その時点で達成していたいゴールが何かを考えれば目的はおのずと明らかになるでしょう。
第二部で説明したキーワードに翻訳すれば、Interest(自分の利害関心)をあらかじめ整理しておくことと同義と言えます。

2.Product (成果物)

話し合いの結果として生まれる、具体的な成果物のことです。

合意案やその付帯条件とも言い換えられます。
話し合った内容を後々まで有効にするためには、具体的な条件に落としこみ、書類などの形にすることが大切です。
話し合いの席を立つ前に、議論した中身がはっきりとした成果物に落ちているか、再確認が有効でしょう。

3.People (参加者)

話し合いの参加者に対する関係作りです。

話し合いは多くの場合一度で終わるものではありませんし、またある交渉で得た評判は、良かれ悪しかれ将来の話し合いに影響を及ぼします。
要は、あまりに相手に嫌われる交渉を続ければ周囲は交渉を避けたり容赦なくえげつないやり方に訴えてきますし、相手に好かれていけば先々も譲歩を得られる可能性は高まるのです。
話し合いの直接の目的や成果に加えて、一方で相手と良い関係が築けているかは常に横目で見張っておくべきです。

4.Process (手順)

最後に、話し合いの手順は非常に重要です。

何を、どこで、いつ、どのように話すかを決めることは円滑な議論に不可欠です。
何より、以前にも説明しましたが、話し合いの内容とは別にまず手順を合意することで、お互いの協調関係を作り交渉をスムーズにする効果も見込めるのです。
また中級者以上の交渉ではこの手順をどちらが支配するかで勝負が決まってきます。
自分に都合のいい流れを作るには具体的な発言内容そのものよりも、物理的な背景(声の大きさ、発言の頻度など)も大きく作用するからです。

以上、4つのポイントを頭に入れて、次回はコミュニケーションの上級編である、アクティブリスニングについて話を進めたいと思います。

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