ンボテが経験した史上最悪級のフライト経験、第4話。完結編。
前回までのストーリーをまだお読みでない方はこちら↓
第1話 悪夢の序章
第2話 灼熱の暗黒フライト
第3話 見捨てられた乗客たち
深夜の空港、路上での悶着を後に、オンボロタクシーでトボトボ帰宅したンボテ。時間はもう4時を過ぎていた。すこしシャワーでも浴びて、お腹すいたし、なんか食べて、朝早いうちに空港に出直そう。
軽食ののち、朝5時頃から少しうとうとしていると、すでに時間は6時20分頃になっていた。ヤバい、寝過ごした。携帯には着信履歴はない。やっぱり航空会社から連絡はなかった。きのう空港でもらった電話番号にこちらからかけるが、誰も出ない。まあ、織り込み済み。
事務所のナショナルスタッフにも電話して支援を求める。「自分からも旅行代理店とかに連絡してみます。」
数分後、そのスタッフから電話。航空会社も代理店も応答がないが、空港当局に電話したところ、8時にアクラ行きのスペシャル便が出る模様だという。
なに?!8時?!もう6時45分じゃん!
急いで車を手配し、空港に向かう。なんの連絡もなかった、けしからん。でも多分、他の客もそんな急に行動は取れていないはずだ。きっとどうなっても飛行機には乗れるはずだ。お仕事の予定もあり、なんとか午前中にはアクラに着きたい。
空港には7時20分頃に到着。早速エールコートジボワールの空港事務所へ。
ンボテ「昨日見捨てられた客だ。今朝の便は8時?!」
カウンター「そう聞いてますけど、まだ決定ではありません。」
ンボテ「でももう7時半だよ?!」
カウンター「決まってません。外で待ってください。」
とりあえず乗り遅れるということはなかった。まず落ち着いてコーヒーくらい飲もう。
カフェには昨日の戦友がいた。
「昨晩は?」
「結局見捨てられたまま、蒸し暑い空港で過ごしたよ。ひでえ話だ。」
その後、チェックインカウンターがあるホールの入り口の前に、列を作り始めるくたびれた面々。
「なにが8時だ。」
「またひでえ目にあうのかね?」
「きょう、スーダンに移動しなければならない。エチオピア行きにどうしてものらなきゃ。」
「エチオピア行き?!あと2時間後にここから出る便もあるぞ。交渉してみては?」
そんなやりとりの中、ンボテの携帯が鳴る。先ほどのカウンターからの着信だ。
「フライトは9時半に出ます。チェックインカウンター前に来てください。」
列のみんなに知らせると、安堵の空気が流れた。チェックインに一斉になだれ込む。
結局、飛行機は10時半頃に離陸。
アクラには12時前に到着した。着陸とともに、同志たちは18時間に渡る闘争に拍手した。
ンボテ経験、史上最悪級のトラブル。でも最悪「級」と書いたとおり、この程度の経験はまだまだあったし、これからもあるのだろう。
西アフリカ地域航空網の新星、エール・コートジボワール。所有機材10機の内訳はエアバス319型機が4、320型機が2、ボンバルディアDash8Q400型機が4機。今期にはさらに新造機を増強するらしい。
就航以来、概ね安定的運行を続け、頻度と定時制で信頼を勝ち得て来たエール・コートジボワール。その矢先の事件だった。ここへ来て、おそらく重めのトラブルが発生し、員数外となった航空機があるのだろう。フライトが確保できなくなったのは、投資コスト回収を急ぐあまり、ギリギリのダイヤを組んでいるためと想像される。
問題のない時はいい。しかし一度トラブルが発生するとダイヤを守ることが難しくなる。そして、不測事態に対する対処が、機上のみならず、地上においても、極めて重要な航空産業。コートジボワール航空は、残念ながらそこのところが全然できていない事を改めて露呈してしまった。こういうミスは簡単に倒産の二文字を招く。
(以前倒産したエール・イボワール)
まあ、アフリカのフライトなんてそんなものだけど。
そんなアフリカの横移動に、くたびれながらも、今度はなにが起きるのか、密かに心ワクワクさせるンボテであった。
(おわり)
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第1話 悪夢の序章
第2話 灼熱の暗黒フライト
第3話 見捨てられた乗客たち
深夜の空港、路上での悶着を後に、オンボロタクシーでトボトボ帰宅したンボテ。時間はもう4時を過ぎていた。すこしシャワーでも浴びて、お腹すいたし、なんか食べて、朝早いうちに空港に出直そう。
軽食ののち、朝5時頃から少しうとうとしていると、すでに時間は6時20分頃になっていた。ヤバい、寝過ごした。携帯には着信履歴はない。やっぱり航空会社から連絡はなかった。きのう空港でもらった電話番号にこちらからかけるが、誰も出ない。まあ、織り込み済み。
事務所のナショナルスタッフにも電話して支援を求める。「自分からも旅行代理店とかに連絡してみます。」
数分後、そのスタッフから電話。航空会社も代理店も応答がないが、空港当局に電話したところ、8時にアクラ行きのスペシャル便が出る模様だという。
なに?!8時?!もう6時45分じゃん!
急いで車を手配し、空港に向かう。なんの連絡もなかった、けしからん。でも多分、他の客もそんな急に行動は取れていないはずだ。きっとどうなっても飛行機には乗れるはずだ。お仕事の予定もあり、なんとか午前中にはアクラに着きたい。
空港には7時20分頃に到着。早速エールコートジボワールの空港事務所へ。
ンボテ「昨日見捨てられた客だ。今朝の便は8時?!」
カウンター「そう聞いてますけど、まだ決定ではありません。」
ンボテ「でももう7時半だよ?!」
カウンター「決まってません。外で待ってください。」
とりあえず乗り遅れるということはなかった。まず落ち着いてコーヒーくらい飲もう。
カフェには昨日の戦友がいた。
「昨晩は?」
「結局見捨てられたまま、蒸し暑い空港で過ごしたよ。ひでえ話だ。」
その後、チェックインカウンターがあるホールの入り口の前に、列を作り始めるくたびれた面々。
「なにが8時だ。」
「またひでえ目にあうのかね?」
「きょう、スーダンに移動しなければならない。エチオピア行きにどうしてものらなきゃ。」
「エチオピア行き?!あと2時間後にここから出る便もあるぞ。交渉してみては?」
そんなやりとりの中、ンボテの携帯が鳴る。先ほどのカウンターからの着信だ。
「フライトは9時半に出ます。チェックインカウンター前に来てください。」
列のみんなに知らせると、安堵の空気が流れた。チェックインに一斉になだれ込む。
結局、飛行機は10時半頃に離陸。
アクラには12時前に到着した。着陸とともに、同志たちは18時間に渡る闘争に拍手した。
ンボテ経験、史上最悪級のトラブル。でも最悪「級」と書いたとおり、この程度の経験はまだまだあったし、これからもあるのだろう。
西アフリカ地域航空網の新星、エール・コートジボワール。所有機材10機の内訳はエアバス319型機が4、320型機が2、ボンバルディアDash8Q400型機が4機。今期にはさらに新造機を増強するらしい。
就航以来、概ね安定的運行を続け、頻度と定時制で信頼を勝ち得て来たエール・コートジボワール。その矢先の事件だった。ここへ来て、おそらく重めのトラブルが発生し、員数外となった航空機があるのだろう。フライトが確保できなくなったのは、投資コスト回収を急ぐあまり、ギリギリのダイヤを組んでいるためと想像される。
問題のない時はいい。しかし一度トラブルが発生するとダイヤを守ることが難しくなる。そして、不測事態に対する対処が、機上のみならず、地上においても、極めて重要な航空産業。コートジボワール航空は、残念ながらそこのところが全然できていない事を改めて露呈してしまった。こういうミスは簡単に倒産の二文字を招く。
(以前倒産したエール・イボワール)
まあ、アフリカのフライトなんてそんなものだけど。
そんなアフリカの横移動に、くたびれながらも、今度はなにが起きるのか、密かに心ワクワクさせるンボテであった。
(おわり)