桐生スバル☆☆☆座   

映画好きの座長がWEB劇場・桐生スバル座を始めましたが
東日本震災で故郷FUKUSHIMAが悲惨な状況で帰れないネ~

虎造芝居「奴は都鳥!3」石松の狼藉と田舎者イジメに泣く吉兵衛一家

2012年04月05日 | 次郎長
04/03(石松が七五郎女房お民と会う) 04/04(半かぶちヤクザのすばる座為五郎の茶屋の場)04/05(石松の狼藉と田舎者イジメに泣く吉兵衛一家)

 さてさて、維新の頃に作られた任侠ヤクザ番付けには載ってない程に無名の次郎長なので、後世の次郎長評判は養子天野五郎が書いた減刑嘆願書を元にした講談浪曲に依るものなのだ。加えて、佐橋法龍著「博徒の虚像と実像」によれば、次郎長はイカサマ博打の名人だったそうな。
        
   註;佐橋法龍氏は、初代お蝶さん難儀の時に助けた仏の長兵衛(深見村長兵衛ー後に保下田の久六と代官によって牢死する)の女房が曾祖母に当たるという人物だそうだ。

 (A)舞台が明るくなると舞台左寄りに幕がある状態(何が隠れているのやら?)、舞台右半分の吉兵衛一家では石松が大声で叫いている。
   石松「なんでイ!これが刺身か?こんな腐ったサカナは清水じゃ猫も食わネ~、それとも俺のヘド吐く姿を見て笑いたいのか!」
   子分「トンデモナイ!石松さん、これは浜松から取り立てのサカナじゃデ・・」
   石松「それに昨晩の女郎はナンダイ!婆アみたいな女で・・清水じゃピチピチ肌の甘い女が寄ってくるヨ、村にゃ若い奴が遊ぶ所も無いから、何の慰み事も無くて・・ボンヤリ空を見てるだけじゃ。酒も不味いし、田舎の肥溜めのニオイがするゼ・・」

  そこへ吉兵衛が2階舞台から登場、
   吉兵衛「石松!しばらく森町を離れたら、やけに生意気な口を効くじゃナイカ!」、
   石松「アッ親分、口が滑って申し訳ネ~」、
   吉兵衛「そんなお前にゃ判らんだろうが、俺が最近始めた俳句とかいう言葉遊びでもするかい?ちょうどカエルの鳴きどきだぜ・・(古池や~、かわず飛び込む・・」
   石松「チョチョと待っておくんなさい。石松はタンカは言えてもハイクが出来ネ~ヤクザ稼業で・・あれ!洒落にもならね~言葉遊びになっちゃたよ・・それじゃ、アッシは、七五郎の所へでも行ってきますヨ!」

 (B)子分達と共に舞台前端に出る石松。
   石松「七五郎の家は何処だい?」
   子分「へ~、こちらへ行って・・裏山を廻って・・アノ家がそうです」
  と指先を舞台右からグル~と舞台裏側を巡って左幕を示す。石松も同じく繰り返し・・
   石松「何だい!馬鹿にするネ~、このままアッチヘ行った方が早いじゃないか!」と舞台左へ幕と共に歩み始める。その幕が引かれて裏幕が現れると・・それには閻魔堂の絵、石松は閻魔絵幕の元にある縁台に座り・・しばらく考える様子。
   (虎三浪曲が流れて・・支度を為して表へ出る
    跨ぐ敷居が死出の山 雨垂れ落ちが三途の川 そよと吹く風無情の風・・

 (C)やがて、その閻魔絵幕が引かれると、小松村七五郎の居間が現れて、七五郎とお民が座っている。身を裏返してススーと居間に座る込む石松。
   七五郎「石松さん、来るのが遅かったじゃネ~か、お民は何時来るかと首を長くして待ってたぜ、それにしても幼馴染みの三人が揃うのも久しぶりの事・・・ゆっくり飲んでってくれ」
   お民「そーだよ、ゆっくりしてくれナ、石松さん」
   石松「あの吉兵衛親分は子供の頃からの親分ぶりで、どうも肌が合わない・・孤ミナシゴ児石松はタダ頭を下げるだけヨ・・しかも学問好きは変わっちゃいない。だから物分かりが良いのだな~石松とは正反対だ! 親父源八さんが上州館林で江戸屋寅五郎に殺された時も「人違いで殺したんじゃ・・仕方がない」とお許しなすった話はヤクザ仲間でも有名だ・・それで大前田英五郎親分とも兄弟分になれたんだぜ」
  お民が居間から去った頃合に、石松が七五郎にヒソヒソ話、
   七五郎「エ~、イカサマをやるのかい!!吉兵衛親分の賭場で!!」
          (舞台暗転)幕

 次幕は、虎造芝居「奴は都鳥!4」最後に、石松がお民に語った秘め事