先日の記事の通り、サッシの位置が決まりましたので構造計算の最終確認を行いました。(2週間ほど前の話)
Zは「2回目の詳細設計のお打合せ後」に最終の構造計算。そして基本計画時から数えると構造計算は3回目です。
近年大きな地震を経験しているニッポン。
というのもあって耐震性の注目は年々高まっているように思います。
今までは大工さんが経験と勘で丈夫な家を建ててくれたけど、
今はそうじゃない。
建築士が構造計算で安全性を確認した建物が丈夫な家なんです。
ネイティブディメンションズも13年前の立ち上げ時から、私自身の手で全棟構造計算しています。
13年前からネイティブディメンションズの最低基準は耐震等級2。
意匠設計者が自分で構造計算するメリットは(逆を言うと設計のほとんどが意匠設計者と構造設計者に分かれている)、プランと構造を同時に考えながら作業するので、使い勝手と柱や窓の位置が無理のない、理にかなった位置に配置できるんです。
この同時に考えることをずーっとやり続けてきた結果、経験と勘が身につきました。
Zの間取りを考えているとき、「ここに耐力壁を配置すれば構造計算はクリアできるな」と思いながら作業します。
実際に構造計算をしてみて、耐震等級2は予定通りクリア。
予定外の場所に耐力壁を追加する作業はありません。
むしろ、外周部には耐力壁を張らない場所もあります。
しかも、特徴的なのは、全体的に緑っぽい色で囲まれています。
ちょっと見にくいですが、左上の図のように明るい色ほど、弱い耐力壁で構成された建物ということ。
弱いって書くと貧弱な建物に聞こえますが、弱い壁で構成しているということは、ある特定の場所に強引な荷重がかからないので、建物全体で満遍なく耐えることができるという解釈になるんです。
つまり、建物にやさしい設計ということ。
イマドキは「地球にやさしい設計」がもてはやされていますが、まずは身近なところから優しくしてあげてください。
そして、話はここからやっと本番で、
耐震等級3にするにはあとどれくらいなのかな、と思うわけです。
計算してみました。
結果はこちら。
耐震等級2の時との違い分かりますか。
←の壁の色が濃くなっています。
合板を1枚だけ増し張りしました。
これで耐震等級3クリアです。
つまり、プラン段階で、ここに耐力壁があった方がいいなと思って作ったプランは、ほぼ耐震等級3の建物だったということ。
これが私の「経験と勘」
耐震等級2以上って、オプション的な扱いが多く、コスト的にも割り増しになると思われています。
しかし、プランと構造を同時に考えれば耐震等級2以上はさほど無理のあることではありません。
日本において、地震に強い建物とは、皆さんが持つべき当たり前の権利です。
ちなみに、1階の内部柱は4本(階段で2本使ってます)
2階の内部柱は3本
たったこれだけ。
これも、経験と勘のたまもの。
そして、このブログの読者なら私の変な趣味を知っているかと思います。
偏心率も余裕の0.3以下。
ブレない建物です。