志情(しなさき)の海へ

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コロナ・パンデミックについてのレポートの課題を60人近くの学生たちが提出している。オンライン授業との関連も~。

2020-08-30 23:22:33 | Academia
 この2年次の学生も後半カミュの『ペスト』と比較していて興味深い。環境の視点からのレポートやその他、多様で、後で全部のレポートを分析したいと思っている。

課題3:Corona virus Pandemic

最初にコロナウイルスとは新型コロナウイルスによる急性呼吸疾患のことで、中国湖北省東部の武漢市から流行した。現在では南極大陸を除くすべての大陸に広がり、2020年8月17日現在、感染者数は世界で2129万4845人、日本で5万6857人、死亡者数は世界で76万1779人、日本で1118人となっている。

 国際連合開発計画(UNDP)によるとコロナウイルスのパンデミックはグローバルな医療危機であるが、医療危機に留まらず、社会経済的な危機でもあり、流行地域に甚大な社会的、経済的、そして政治的危機を引き起こすと述べられている。急激な感染者数増加や二次感染による医療従事者不足、救急や感染指定病院への患者集中による感染病床不足、グローバルサプライチェーンの分断と感染予防医療用消耗品不足と偏重、医療を総合的にマネジメントする仕組みの欠如などから医療崩壊が進んでいる。また、失業者も多く、国際労働機関(ILO)は、1億9600万もの仕事が失われる可能性があると予測している。

 現在世界各国で検査、治療、感染経路の検証、移動制限、市民の隔離、スポーツやコンサート、学校などでの大規模イベントを中止することにより、感染拡大スピードを必死に抑えている。特に有名な例としては2020東京オリンピックの延期がある。また、ロックダウンによる都市閉鎖や国境閉鎖、罰則や罰金を科す厳しい外出制限や入国制限、国外移動の制限、マスク着用の徹底など今までの通常の生活では考えられない事態が起きている。

 世界保健機関(WHO)の世界的なデータを見ると日本は他の先進国と比べ、感染者数が少ない。最も感染者数の多いアメリカ合衆国では格差社会のため、貧困層の人々はロックダウンになっても働きに出かける。そのため感染のリスクが高まる。また感染したとしても病院に行けない。イタリアやスペインなどのラテン文化の人々は文化や習慣の特徴として、挨拶の際にハグやキスをするため人と人との距離が違い。それに対して日本は格差社会でもなく、挨拶の際はせいぜいお辞儀や握手程度である。また「3密」いわゆる、「密閉・密集・密接」を避けるように要請、医薬品を使わない感染抑制のための手段である人と人との間に物理的な距離をとる社会距離拡大戦略いわゆるソーシャルディスタンスの方策がある。

 私はこの世界的現状を少しでも理解したいと考え、ノーベル文学賞受賞作家のアルベール・カミュの『ペスト』を読んだ。この作品は、ネズミの死骸がいくつか発見されたのを境に原因不明の熱病者が続出する。これはペスト(黒死病)の発生である。やがて町は外部と完全に遮断され、市民の精神状態が困憊していく。そのような状況下で必死に闘う市民たちの姿が淡々と描かれている。この作品を読み進めていくと、『ペスト』の世界観と、コロナウイルスによる世界的現状には様々な共通点があると感じた。もちろん、ペストとコロナウイルスでは原因や症状、致死率は全く違うが、医学的ではなく、現象面を社会的に見た場合共通点が多い。身近な共通点としては、ペスト発生期の町当局の対応の緩慢さと、コロナウイルス対策の初動に遅れをとった日本政府である。感染拡大が明らかになった時点でも、恐ろしさを軽視し、様子見をいたずらに長引かせ、致命的な事態を招いた。その他にも、突然発生したことによる人々の混乱や、できる限る人との距離を保ち互いに伝染を避けようとする姿勢、ロックダウンなどの共通点がある。『ペスト』の作中で、夏の海水浴が禁止になる時に、「あらゆる喜びを追い払ってしまった」という一文がある。これはスポーツやコンサートの中止、オリンピックの延期など人々の娯楽に制限がかかってしまったコロナウイルスによる世界的現状と深い共通点がある。人間の行動や心境は今も昔も変わらないと感じた。

 ペストは突然終息した。『ペスト』は「ペスト菌は決して消滅することはない。数十年の間、部屋や家具、衣服やハンカチの中、様々な場所で共存し続ける。いつか、人間に不幸と教訓をもたらすべく、再びネズミどもを呼び起こし、悪夢を見せるであろうことを考えながら」という一文で締めくくられている。コロナウイルスもこれから終息していくと思われるが、ペストと同様に部屋や家具などの新しい生活様式の下で共存していく存在であることを理解しておきたい。

 コロナウイルスを終息させるための最も有効な対策として治療薬やワクチンの開発がある。しかし、現在、治療薬やワクチンが開発されたとして、接種を受けないという考えの人が多い。治療薬やワクチンの安全性は膨大な量の研究で実証されるものであるため、開発期間が短く、不安が残るようなものには躊躇する人が多い。コロナウイルスに関する専門家は、「治療薬やワクチンに対する躊躇が次の障壁になるかもしれない」と予想している。

 私たちはコロナウイルスのパンデミックが起こったために、大学の授業がすべてオンラインに移行、夏祭りやイベント事の中止や延期、緊急事態宣言下による外出自粛などの影響があった。特に、授業がすべてオンラインに移行したのは影響が大きく、今まで経験したことのない授業形態であり、学べているのか、課題提出はできているのか、どのように評価されるのかなどたくさんの不安があった。後期の授業もすべてオンラインの可能性が高く、あまり気分のいいものではない。また、私たちは若者らしくもっと外に出て遊び、たくさんの人と関わることで新しい価値観を身につけていきたい。それが現状できない。私たちが今できることは、現状を理解し、感染拡大を防止するための行動をとることなので、コロナウイルスが終息する日を心待ちにしながら、過ごしていく。
 
 参考資料:省略

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