めったに映画を観にいけないが、ネットで10年、20年前の名作映画がUPされている。久しぶりに若松孝二監督作品である。以前観た「キャタピラ」も良かった。偽善を剥ぎ取ろうとする視線だろうか?血と宿命のような『千年の愉楽』は、『キャタピラ』同様、監督の死生観が当然顕れている。性=聖=愉悦=生きる糧(縁)を、描いているが、産婆と僧侶の夫婦が見つめる『穢れた宿縁』?、一方は横領する銀行員の女性が主人公!で小説の映像化ゆえに、たんなる横領ではない、背後の物語りがなるほど、一味異なることがわかる。白・黒で物語が成り立たないところがいい。心理やシステムの型どおりではないところからみえてくるものがいいね。成績の数値化をしながら観たり聴いたりしているので、大事な場面が抜けているのかもしれないが、それでも、クラシック音楽を聴きながらとも異なる体験のような不思議な時が流れる。
邦画もいいね。
そういえば「キャタピラ」でも寺島しのぶが主役だった。「千年の愉楽」は中上健次の短編の映像化だったと今頃知った。中上健次の小説は前に幾つか読んだことがあるが、この短編については全く知らなかった。中上健次、懐かしい名前だね。
**********************転載(備忘録)
若松孝二監督が映画化し、2013年3月9日、若松プロダクションおよびスコーレ株式会社の配給で公開された。「ロケ地の三重で先行上映したい」という監督の意向により、2013年1月6日に津市の三重県総合文化センターで、同年2月9日に尾鷲市の尾鷲市民文化会館(せぎやまホール)で先行上映されている[1]。2012年10月17日に亡くなった若松の遺作となった。
2011年11月7日から11月15日まで三重県尾鷲市須賀利町でロケーション撮影が行われた[2]。
また、第69回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門に招待された。これにより、若松監督作品としては2008年から2012年までの4年間でベルリン国際映画祭の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008年)、『キャタピラー』(2010年)、カンヌ国際映画祭の『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(2012年)に続き、世界三大映画祭への出品を制覇したことになる[3]。
キャスト
- オリュウノオバ:寺島しのぶ
- 礼如:佐野史郎
- 中本半蔵:高良健吾
- 田口三好:高岡蒼佑
- 中本達男:染谷将太
- 安田:山本太郎
- 中本彦之助:井浦新
- ミツ:原田麻由
- トミ:増田恵美
- カネ:並木愛枝
- ユキノ:石橋杏奈
- 清二:地曵豪
- 初枝:安部智凛
- 辰吉:岡部尚
- 桑原:水上竜士
- 直一郎:岩間天嗣
- 蘭子:片山瞳
- 芳子:月船さらら
- 瀧口亮二
- 山岡一
- 大谷友右衛門
- 渋川清彦
- 大西信満
- 石田淡朗
- 小林ユウキチ
- 大和田健介
- 真樹めぐみ
- 大西礼芳
スタッフ
- 監督:若松孝二
- 脚本:井出真理
- 原作:中上健次
- 企画:若松孝二、昆絹子
- プロデューサー:若松孝二、昆裕子、尾崎宗子
- ラインプロデューサー:大友麻子
- 撮影:辻智彦、満岩勇咲
- 照明:大久保礼司
- 録音:福田伸
- 美術:増本知尋
- メイク:小沼みどり
- 衣装:宮本まさ江
- 助監督:大友太郎、富永拓輝、瀧口亮二
- キャスティング:小林良二
- 特殊メイク:森田誠
- メイキング:木俣全
- 編集:坂本久美子
- 音楽:中村瑞希、ハシケン
- 音楽プロデューサー:高護
- 製作・配給:若松プロダクション、スコーレ
脚注
- ^ 宿谷紀子"「千年の愉楽」先行上映 津であす 故若松監督の遺志継ぐ"中日新聞2013年1月5日付朝刊、広域三重15ページ
- ^ 東紀州観光まちづくり公社観光振興室東紀州プレス&フィルムコミッション担当"「千年の愉楽」映画ロケ決定! 〜尾鷲市須賀利〜 - 東紀州観光まちづくり公社"2011年10月14日(2012年6月16日閲覧。)
- ^ “若松孝二監督、寺島しのぶ主演『千年の愉楽』ベネチア国際映画祭に正式招待!”. シネマトゥデイ (2012年7月27日). 2012年8月4日閲覧。
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『紙の月』(かみのつき)は、角田光代による日本のサスペンス小説。学芸通信社の配信により『静岡新聞』2007年9月から2008年4月まで連載され、『河北新報』『函館新聞』『大分合同新聞』など地方紙に順次連載された。
著者の角田はこの作品を執筆する際、普通の恋愛では無い、歪なかたちでしか成り立つことのできない恋愛を書こうと決めていたが[1]、実際のニュースで銀行員の女性が使い込みをしたという事件を調べると、大抵が“男性に対して貢ぐ”という形になっていることに違和感を覚えた[2]。そして、“お金を介在してしか恋愛ができなかった”という能動的な女性を描きたいという思いが湧き上がったと話している[2]。