今日こそ映画〈彼女が好きなものは〉の感想を書きます。
原作は、浅原ナオトさんの小説〈彼女が好きなものはホモであって僕ではない〉
(あらすじ)
妻子ある同性の恋人と付き合っている男子高校生・安藤純(神尾楓珠)は、ゲイであることを隠して日々を過ごしていた。
ある日、書店で同級生の三浦紗枝がBL(ボーイズラブ)漫画を買うところに出くわし、紗枝から「誰にも言わないで欲しい」と口止めされる。
それをきっかけに二人は急接近し、一緒に遊園地に行くなど交流を深めていくうちに、純は彼女から告白される。
自分も異性と交際し、周囲と同じような人生を歩めるのではないかと思った純は、紗枝と付き合うことにする。(シネマトディからのコピペ)
NHKのドラマで〈腐女子うっかりゲイに告る〉と同じ内容ですが
製作者やキャストが違ったらどうなるのか、とても興味がありました。
テレビでは主役の純は、金子大地くんでした。
金子大地くんの純もよかったんですが、神尾楓珠くんの純もとてもよかったです。
キャストが全員上手かった。
紗枝役の山田杏奈ちゃんも普通の女子高校生っぽくて初々しく、そして肝っ玉が据わっていました。
ゲイであることを隠しながら生きてる純くん
見てるだけで辛い
母親にも親友の亮平にも言えない
唯一ネットでのみ交流がある同じくゲイであるファーレンハイト(ハンドルネーム)には、心を許し
大学生であるらしい彼にいろいろと相談もする。
純には妻帯者の恋人もいるけど、
将来アパートで孤独死している自分しか想像できないくらいの孤独が、常に彼に付きまとっている。
普通に結婚して子供だって作りたい、お母さんに孫だって抱かせてあげたい
普通であることを切に求めている純が、紗枝ちゃんからの告白を受け入れるのも致し方ないことな気もする。
ゲイであることを隠して生きるほども辛くはないけれど
誰だって何かしら隠しながらたまに孤独を感じて生きているのではないかしら?
そう言う心を抱えている人にこの映画はすごく刺さる。
そして、慰められる。
見ている間中、私の心にはしとしとと雨が降り、ベタな慰めをするお母さんに純が苦しみと葛藤から切れてしまう場面では涙腺が崩壊しました。
「私だってね、高校生のころ、年上の同性の先輩を好きになったことあるのよ、これが恋かしら、なんてね。」
「違うよ、そんなんじゃない、そう言うことじゃないんだ、なぜ僕なんか産んだんだよ、どうしてどうして」
ついに学校中にその事が明らかになり、純はあることがあって校舎から飛び降りてしまう。
幸いにも命は助かるけれど、純は大阪に転校することになる。
結局は、紗枝は騙されたような形になるのだけれど、
事実を知り、苦しみながらも純に寄り添い理解したいと努力する姿に心打たれました。
今では少しづつ世間でLGBTの問題も理解されつつあるようですが
実際、自分の家族や周りにLGBTの人がいたら
クラスメイト達がそうだったようにそう簡単には受け入れられないかもしれない、と思う自分がいます。
特に子供だったりしたら、と考えだすと暗い森の中に迷い込んだような気持になります。
ラスト、純が大阪に行ってしまう前に初デートする二人
大きな気持ちでお互いを受け入れてその存在自体を好きだと、言い合う場面がとてもよかった。
希望が感じられるラストシーンが最高だった。
BLの漫画を買うところを純に見つかって慌てる紗枝
昔、腐女子であることを告白して仲間外れにされた苦い思い出から
腐女子であることを隠している
純に思いを告白する紗枝
妻帯者である恋人役は、今井翼さんでした。
清潔感があってよかったです。
幼馴染であり親友の亮平と
亮平役は、前田旺志郎くん
明るくやんちゃな感じでこれまたぴったりだった。
昔、お兄ちゃんと〈まえだまえだ〉と言う漫才コンビを組んでいました。
亮平を見て思い出しました。
あまり邦画は観ませんが、今回は理解できる言葉が即耳に入ってくるのって
いいなぁ、と思いました。
そして、映画館
TVのドラマより良かったとしたら、それは映画館で観たから
映画館で映画を観る素晴らしさを改めて認識しました。
(文章にすると重い感じになりますが
設定や役者さん達の若さのお陰で瑞々しい作品に仕上がっています)