
バリ舞踊にペンデットという名前の踊りがある。もともとは寺院で神々にたいして上演する踊りだったのだが、観光化にともない来客を歓迎する踊りとして創作されたウエルカム・ダンスの一つ。この種の踊りの中では歴史が古いせいもあって、最近は新しく創作された舞踊におされて上演されることは少なくなったが、バリの人々にはよく知られている舞踊である。
実はこの舞踊が、インドネシアとマレーシアの国家問題になってしまったのである。ことの起こりは、マレーシアの観光用の宣伝フィルムにこのペンデットが使われたことに始まる。どう考えてもマレーシアがバリの歓迎の舞踊を自分の国の宣伝に用いるというのは普通ではない。しかし実際にはそれが起きてしまったのである。
まず怒ったのはバリ人である。なぜバリ文化がマレーシアに盗用されるのか?芸術大学ではペンデットが学長室のある本部前で踊られるデモが行われ、バリ・ポストでも、この問題が大きくとりあげられた。大統領までもがこの事態に対して発言をするなど問題は大きくなっていったのである。この宣伝ビデオを作成した会社はインドネシア政府に対して謝罪をしたが、インドネシアとしては、会社のせいにするマレーシア政府が気に入らないわけで、これまでの両国間の摩擦もあいまってか、国家問題に発展しそうな気配である。
私が驚いたのは、このことでペンデットの歴史だとか、創作者の息子、識者たちが次々にこの舞踊について新聞やテレビを通して語りはじめたことで、バリ人が舞台でほとんど踊らなくなったものが、こんな形で日の目をみることがすこし滑稽だ。この問題をきっかけにペンデットが再びバリのあちこちで踊られるようになったら、面白いのであるが・・・。(8月27日、タバナンで記す)
実はこの舞踊が、インドネシアとマレーシアの国家問題になってしまったのである。ことの起こりは、マレーシアの観光用の宣伝フィルムにこのペンデットが使われたことに始まる。どう考えてもマレーシアがバリの歓迎の舞踊を自分の国の宣伝に用いるというのは普通ではない。しかし実際にはそれが起きてしまったのである。
まず怒ったのはバリ人である。なぜバリ文化がマレーシアに盗用されるのか?芸術大学ではペンデットが学長室のある本部前で踊られるデモが行われ、バリ・ポストでも、この問題が大きくとりあげられた。大統領までもがこの事態に対して発言をするなど問題は大きくなっていったのである。この宣伝ビデオを作成した会社はインドネシア政府に対して謝罪をしたが、インドネシアとしては、会社のせいにするマレーシア政府が気に入らないわけで、これまでの両国間の摩擦もあいまってか、国家問題に発展しそうな気配である。
私が驚いたのは、このことでペンデットの歴史だとか、創作者の息子、識者たちが次々にこの舞踊について新聞やテレビを通して語りはじめたことで、バリ人が舞台でほとんど踊らなくなったものが、こんな形で日の目をみることがすこし滑稽だ。この問題をきっかけにペンデットが再びバリのあちこちで踊られるようになったら、面白いのであるが・・・。(8月27日、タバナンで記す)