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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

哨吶(スオナ)

2011年11月04日 | 那覇、沖縄
 文化の日は毎年、首里文化祭が行われて、首里城の近くでは道路を通行止めにして王朝行列なるものが行われる。この行列のあとは、首里地域エイサーや旗頭がわんさと登場して、さながら首里民俗芸能の祭典となる。
 王朝行列に登場するのが、「路次楽」とよばれる首里王朝時代に演奏されていた行進のための音楽。実は、音楽学者田辺尚雄が大正11年に首里を調査したときには、まだ演奏できる人がいたらしいが、その後廃れたものを現在復元して演奏している。この行列で用いられるのが哨吶(スオナ)とよばれるチャルメラである。中国起源の楽器だが、琉球王朝と中国との交流の中で音楽とともに伝播した楽器だろう。
 「プー」という響きの不思議な音がするが、琉球国王の行列だと不思議と違和感はないものだ。だいたいその服装も京都の王朝のような「雅」というよりは、「派手」な仮装行列のようにも見える。ぼくは「プー」という音が遠くに聞こえるまでぼんやり行列を眺めた。真夏のような太陽の下、となりの子供数人がソーダアイスをなめていた。子供の誰かが「変な音ね」と言った。不思議と誰も返事をせずに、他の子供たちは、そんな音を出す楽器を真剣に見つめていた。
 「君たち、将来、音楽学なんて学問をやってみないかい?」とぼくは心の中でつぶやいた。

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