Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

外国人が踊る風景

2010年01月27日 | バリ
 バリの都市部では、外国人がバリ舞踊を踊るという光景が決して珍しいものではなくなってしまった。要するに、バリ舞踊を学ぶ外国人がデンパサール周辺にひじょうに多く、先生たちが関わる舞台に弟子である外国人が出演する機会が増えたからである。

 私がバリに滞在していた12月末、デンパサールのカユマス集落で踊りのコンテストが開かれていたのだが、ちょうど休憩時間に外国人の踊りが披露された。ゴア・マチョとよばれるレゴンの中でも珍しい舞踊で、そうそうバリ人でも踊れる舞踊ではいない。そういう珍しい舞踊を外国人は学ぼうとするし、先生も忘れかけている舞踊を思い出しながら教えるのである。なんだか消え行く演目を「救っている」のは外国人のようである。

 私が留学している頃なら「日本人が踊る」なんていったら、それなりに大事件だった。私がワヤン一座で演奏していたころは、ワヤンではなく、私を見るという好奇心だけでワヤン会場にやってきた観客も少なくなかった。(もし、ぼくが綺麗なお姉さんだったら、ワヤンが上演されている村では上演中から大騒ぎになっていただろう。)しかし、今ではバリ人は何も反応しない。黙って鑑賞して、終わると静かに手をたたく。ただそれだけ。もうバリ舞踊はバリ人だけのものではないということをバリ人自身が悟った反応なのか、あまりにも当たり前すぎる風景になってしまったからなのか?