ななとぽちと猫たち

夫婦と猫達との日々

名前も知らない犬

2008年12月16日 | Weblog
あれは私が高校生だった冬の出来事だ。

私は父の実家に向かうため、圧雪状態のゆっくりとした上り坂の左側を
自転車引いて歩いていたのだが

ある家の横を通りかかった時、そこで飼われているらしい犬が
鎖を外された状態で玄関の前で遊んでいた。
近くには家の人も居たように思うが。

その犬と私の目が合ったのだ。
その瞬間、犬は私に近づいて来た。
シッポぶりぶり振りながら、うれしそうに。
そのうれしい状態で、自転車引く私の後をついてきた。

ずーっと付いて来て、戻る気配なし。
家の人が遊んでくれないから私に遊んで貰いたかったのか、
言葉で表現すれば、
ねぇ何してんの?どこ行くの?って感じだった。


車の往来が激しい訳じゃなかったが、たまに後ろから車来るとドキドキした。
だって、犬は私を見ながら、道の真ん中の方までいったり来たりしながら付いて来るもんだから、
危なかったのだ。
車に轢かれるんじゃないかとものすごく心配だった。
危ないから早く帰って欲しかったので
犬をなるべく無視し、もくもく進んだ。
無視してたら諦めて帰るだろうし。

が、犬はなかなか諦めてくれず


しばらくして、後ろからバスが来るのに気づいた。

バスはずんずん近づいてくる。
犬は相変わらず道の方に飛び出したりしながら付いて来る。

とうとう私の心配は的中してしまったのだ。

バスが私たちのすぐ側まで近づき
横を通り過ぎようとした

一瞬だった。


犬がバスの車体の下に入り込んでしまったのだ。

もうダメだ。


バスの中の数人の乗客もそれに気づいたらしく
窓ごしに下の方を見ながら、心配そうな驚いた顔をしてるのがわかった。

私はどうする事も出来ず、ただ目は犬の姿を追ってた。。

今でも忘れられないあの光景は。


犬の体はバスの後輪の前で、体を丸めた状態でクルクルっと回転したのだ。

そして、


回転した体はタイヤに巻き込まれる事なく間一髪バスの下からスルっと抜け出してきたのだ。

犬は助かったんだよ。全くの無傷。

バスは止まることなく通り過ぎて行った。

巻き込まれなかったのは、雪で路面がツルツルしてたおかげだろうと思う。
タイヤの前で見事にクルクル回ってたから。


心底無事でよかったと思った。

バスから抜け出した後の犬は、ただ不思議そうに
あれ?あれ?な状態だったので

きょとーんとしてる今のうちに行かなければと思い、犬がちゃんと家に帰るか気にはなったが、
私は父の実家に向かった。

心臓バクバクさせながら。


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