「ごまめの歯ぎしり 」なるメルマガがある。 「衆議院外務委員長河野太郎の国会日記」として書かれているHPメルマガ版で、河野太郎議員の日々の公務に関する記述が多い。少し古い話で恐縮だが、6月10日の衆議院外務委員会での共産党・赤嶺代議士の質問を取り上げている。詳細については、「衆議院TV 外務委員会 6月10日 赤嶺代議士」で検索すれば代議士の外務委員会での質問の状況を52分間ノーカットで見ることが出来る。ここでは、衆議院外務委員長である河野太郎氏の「ごまめの歯軋り」を引用する。主題は米兵の公務とは何か。であり、法務省の実務における見解と、外務省の米国に対する姿勢と日本国民に対する姿勢の差がこれほどあからさまになっているのも、怒りを持って見ることが出来る
以下ごまめの歯軋りを引用する
「1950年代に、外務省は、アメリカと軍の公務とは何かというこ
とを議論し、定義づけている。
公務中の事件、事故は米軍が裁判権を持つから、何が公務がという
この定義は重要だ。
在日米軍人が、自宅から勤務地に通勤する途中は公務になる。
問題は、その通勤に飲酒運転をしていた場合だ。
日米合同委員会の合意は、飲酒運転していたからそれは公務とは言
えないとは必ずしも言えない。
仕事上出席が必要な公式なパーティ等に出席して、そこで一杯引っ
かけて運転して帰宅するのは公務中だ、という結論だ。
この1950年代の合意がまだ生きていて、このルールで公務かど
うかを判定しているというのが外務省の答弁だ。
もちろん社会通念が変わっているから云々とはいうものの、基本的
なルールは変わっていない。
赤嶺代議士の質問に、外務省は答えずに、公開されていない資料の
ことは言えないと逃げた。が、赤嶺代議士は、その文書を持ってい
る。(もともと国会図書館で公開されていた資料を、外務省が後か
ら非公開にしたのだ)。
この質問が終われば採決だったが、委員長席から、外務省が答えな
いなら、採決はしないと再答弁を求める。
委員席からも、そんな昔のままのルールのはずないよ、と声が飛ぶ
が、局長の答弁は、飲酒運転でも公務中たり得る。
これでは日米安保に対する信頼は生まれない。地位協定と合同委員
会合意事項の総ざらえでの見直しが必要だ」
しかし、外務省の(というよりアメリカの手先としての役所)の果たしている行為は酔払い運転などというどうでもよい問題だけではない。日本国そのものの生存にも関る問題について、外務官僚のみが一元的に管理し、総理大臣にすら伝えていない現状が明らかになっている。共同通信が配信し、6月1日の朝刊で報道された記事を全文引用する
「60年安保『核持ち込み』 密約、外務官僚が管理 伝達する首相を選別
2009年6月1日 朝刊
一九六〇年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが三十一日分かった。四人の次官経験者が共同通信に明らかにした。
政府は一貫して「密約はない」と主張しており、密約が組織的に管理され、一部の首相、外相も認識していたと当事者の次官経験者が認めたのは初めて。政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。
次官経験者によると、核の「持ち込み(イントロダクション)」について、米側は安保改定時、陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は、日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」に相当しないとの解釈を採用。当時の岸信介政権中枢も黙認した。
しかし改定後に登場した池田勇人内閣は核搭載艦船の寄港も「持ち込み」に当たり、条約で定めた「事前協議」の対象になると国会で答弁した。
密約がほごになると懸念した当時のライシャワー駐日大使は六三年四月、大平正芳外相(後に首相)と会談し「核を積んだ艦船と飛行機の立ち寄りは『持ち込み』でない」との解釈の確認を要求。大平氏は初めて密約の存在を知り、了承した。こうした経緯や解釈は日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局(現国際法局)で管理されてきたという。
文書を見たという次官経験者は「次官引き継ぎ時に『核に関しては日米間で(非公開の)了解がある』と前任者から聞いて、次の次官に引き継いでいた。これは大秘密だった」と述べた。
別の経験者は橋本、小渕両氏ら外務省が信用した政治家だけに密約内容を知らせていたと語った。さらに別の経験者は「(密約内容を話していい首相、外相かどうか)役人が選別していた」と述べ、国家機密の取り扱いを大臣でなく官僚が決めていた実態を明かした。
米軍は五三年以降、空母などに戦術核を搭載し日本近海に展開。冷戦終結後は、こうした海上配備の戦術核を米本土に引き揚げた。密約に関しては九〇年代末、その内容を記した米公文書が開示されている。 (共同)
<核の持ち込み> 米軍による核兵器の持ち込みは、1960年改定の日米安全保障条約第6条(米軍による施設・区域使用)に関して両国政府が交わした交換公文で「装備の重要な変更」に該当し、同条約で定めた「事前協議」の対象になるとされた。日本側に事実上の拒否権を付与する事前協議は一度も行われておらず、日本政府は「事前協議がない限り、寄港も含め持ち込みはない」との見解を堅持。しかし核艦船などの通過・寄港を事実上、事前協議の対象としない秘密合意内容を記した「秘密議事録」(密約)が安保改定時に交わされた。63年には大平正芳外相とライシャワー駐日大使がその内容を確認した。 (共同)」引用終り
アメリカにおいてアメリカ側の公文書が公開され、歴代の次官がはっきり証言しているにも関らず、現外務次官は「知らない・存在しない」とそらっとぼけている。
このままで行くと、日本側の資料は「破棄・隠匿」され、相手から証拠を突きつけられて、国家としてのっぴきならない所に、追いつめられることを憂う。政権交代しても、官僚が素直に資料を出してくるとも思えない。総選挙の翌日から、霞ヶ関の焼却炉がフル稼働しないように、民主党は十分に今から手を尽くすべきであろう。特に外務省と、法務・検察・警察の司法関係にはあらかじめ釘を挿し、資料破棄などが発覚した場合は、さかのぼっても厳罰に処すると宣言すべきであろう。
この問題に関するメディアの無関心は恐るべきものだ。国民の知る権利どころでなく、国家の指導者すら官僚により選別されていることをなぜ、厳しく問おうとしないのか。物凄く疑問に思う
なお6月16日の「ごまめの歯ぎしりにこんな記述が有った
「パーティで飲酒して運転しても公務だという合同委員会合意は、米
側に廃止を申し入れることになった。
外務省が法務省を伴って、委員長に説明をとやってきたが、もとも
と法務省は、こういう合意を秘密にしておかなければならないとは
思っていない。米側も、軍事行動と関係ない合意事項は秘密にして
おく必要はないし、合意事項が秘密なっているのは外務省の要請だ
とはっきり言う。
外務省が一人芝居をして、一人でこけているだけだ。
核の密約も外務省の一人芝居だ。
核密約、合同委員会合意、地位協定。終盤国会の外務委員会はこの
三点セットでいきたい。」
以下ごまめの歯軋りを引用する
「1950年代に、外務省は、アメリカと軍の公務とは何かというこ
とを議論し、定義づけている。
公務中の事件、事故は米軍が裁判権を持つから、何が公務がという
この定義は重要だ。
在日米軍人が、自宅から勤務地に通勤する途中は公務になる。
問題は、その通勤に飲酒運転をしていた場合だ。
日米合同委員会の合意は、飲酒運転していたからそれは公務とは言
えないとは必ずしも言えない。
仕事上出席が必要な公式なパーティ等に出席して、そこで一杯引っ
かけて運転して帰宅するのは公務中だ、という結論だ。
この1950年代の合意がまだ生きていて、このルールで公務かど
うかを判定しているというのが外務省の答弁だ。
もちろん社会通念が変わっているから云々とはいうものの、基本的
なルールは変わっていない。
赤嶺代議士の質問に、外務省は答えずに、公開されていない資料の
ことは言えないと逃げた。が、赤嶺代議士は、その文書を持ってい
る。(もともと国会図書館で公開されていた資料を、外務省が後か
ら非公開にしたのだ)。
この質問が終われば採決だったが、委員長席から、外務省が答えな
いなら、採決はしないと再答弁を求める。
委員席からも、そんな昔のままのルールのはずないよ、と声が飛ぶ
が、局長の答弁は、飲酒運転でも公務中たり得る。
これでは日米安保に対する信頼は生まれない。地位協定と合同委員
会合意事項の総ざらえでの見直しが必要だ」
しかし、外務省の(というよりアメリカの手先としての役所)の果たしている行為は酔払い運転などというどうでもよい問題だけではない。日本国そのものの生存にも関る問題について、外務官僚のみが一元的に管理し、総理大臣にすら伝えていない現状が明らかになっている。共同通信が配信し、6月1日の朝刊で報道された記事を全文引用する
「60年安保『核持ち込み』 密約、外務官僚が管理 伝達する首相を選別
2009年6月1日 朝刊
一九六〇年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが三十一日分かった。四人の次官経験者が共同通信に明らかにした。
政府は一貫して「密約はない」と主張しており、密約が組織的に管理され、一部の首相、外相も認識していたと当事者の次官経験者が認めたのは初めて。政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。
次官経験者によると、核の「持ち込み(イントロダクション)」について、米側は安保改定時、陸上配備のみに該当し、核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は、日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」に相当しないとの解釈を採用。当時の岸信介政権中枢も黙認した。
しかし改定後に登場した池田勇人内閣は核搭載艦船の寄港も「持ち込み」に当たり、条約で定めた「事前協議」の対象になると国会で答弁した。
密約がほごになると懸念した当時のライシャワー駐日大使は六三年四月、大平正芳外相(後に首相)と会談し「核を積んだ艦船と飛行機の立ち寄りは『持ち込み』でない」との解釈の確認を要求。大平氏は初めて密約の存在を知り、了承した。こうした経緯や解釈は日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局(現国際法局)で管理されてきたという。
文書を見たという次官経験者は「次官引き継ぎ時に『核に関しては日米間で(非公開の)了解がある』と前任者から聞いて、次の次官に引き継いでいた。これは大秘密だった」と述べた。
別の経験者は橋本、小渕両氏ら外務省が信用した政治家だけに密約内容を知らせていたと語った。さらに別の経験者は「(密約内容を話していい首相、外相かどうか)役人が選別していた」と述べ、国家機密の取り扱いを大臣でなく官僚が決めていた実態を明かした。
米軍は五三年以降、空母などに戦術核を搭載し日本近海に展開。冷戦終結後は、こうした海上配備の戦術核を米本土に引き揚げた。密約に関しては九〇年代末、その内容を記した米公文書が開示されている。 (共同)
<核の持ち込み> 米軍による核兵器の持ち込みは、1960年改定の日米安全保障条約第6条(米軍による施設・区域使用)に関して両国政府が交わした交換公文で「装備の重要な変更」に該当し、同条約で定めた「事前協議」の対象になるとされた。日本側に事実上の拒否権を付与する事前協議は一度も行われておらず、日本政府は「事前協議がない限り、寄港も含め持ち込みはない」との見解を堅持。しかし核艦船などの通過・寄港を事実上、事前協議の対象としない秘密合意内容を記した「秘密議事録」(密約)が安保改定時に交わされた。63年には大平正芳外相とライシャワー駐日大使がその内容を確認した。 (共同)」引用終り
アメリカにおいてアメリカ側の公文書が公開され、歴代の次官がはっきり証言しているにも関らず、現外務次官は「知らない・存在しない」とそらっとぼけている。
このままで行くと、日本側の資料は「破棄・隠匿」され、相手から証拠を突きつけられて、国家としてのっぴきならない所に、追いつめられることを憂う。政権交代しても、官僚が素直に資料を出してくるとも思えない。総選挙の翌日から、霞ヶ関の焼却炉がフル稼働しないように、民主党は十分に今から手を尽くすべきであろう。特に外務省と、法務・検察・警察の司法関係にはあらかじめ釘を挿し、資料破棄などが発覚した場合は、さかのぼっても厳罰に処すると宣言すべきであろう。
この問題に関するメディアの無関心は恐るべきものだ。国民の知る権利どころでなく、国家の指導者すら官僚により選別されていることをなぜ、厳しく問おうとしないのか。物凄く疑問に思う
なお6月16日の「ごまめの歯ぎしりにこんな記述が有った
「パーティで飲酒して運転しても公務だという合同委員会合意は、米
側に廃止を申し入れることになった。
外務省が法務省を伴って、委員長に説明をとやってきたが、もとも
と法務省は、こういう合意を秘密にしておかなければならないとは
思っていない。米側も、軍事行動と関係ない合意事項は秘密にして
おく必要はないし、合意事項が秘密なっているのは外務省の要請だ
とはっきり言う。
外務省が一人芝居をして、一人でこけているだけだ。
核の密約も外務省の一人芝居だ。
核密約、合同委員会合意、地位協定。終盤国会の外務委員会はこの
三点セットでいきたい。」