名塩御坊 教行寺

西宮市北部にある蓮如上人創建の寺 名塩御坊教行寺のブログ
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娘にボツにされた寺だよりの原稿

2023年10月08日 09時42分00秒 | 愚僧独言・「寺だより」掲載
今夜の海は穏やかです。
で始まるマシューアーノルドの「ドーバービーチ」という詩がある。この詩は、1867年に出版された。
進化論や地質学によって、聖書の記述が疑われるようになったビクトリア朝時代である。
自身と西欧社会の信仰が揺らぐ中、アーノルドは、キリスト教よりはるか以前、ギリシャの作家ソフォクレスを語る。たとえ不安な時代が来ようとも、ギリシャ時代同様に、人と人の関係、愛があれば良いと。

ところ変わって、1877年の日本。東京大学に招聘された米国の動物学者モースは、ダーウィンの進化論を講義した。
モースの日記には、「聴衆は極めて興味を持ったらしく思われ 、そして 、米国でよくあったような 、宗教的の偏見に衝突することなしに 、 ダーウインの理論を説明できて愉快だった」こと、「教授数名 、 彼等の夫人 、 並びに500人から600人の学生が聴講し、講演を終った瞬間に 、素晴しい 拍手が起り 、私は煩の熱するのを覚えた。」と記されている。キリスト教とその文化を持たない日本人には、揺らぐような信仰はなかったのである。

今年、LGBT理解増進法が制定された。法案成立前には、こともあろうに、アメリカ大使までが「日本社会が発展途上」だのと提灯持ちをしていた。日本と西欧の違いも判らぬバカ大使と噂する者もいた。
日本には、室町時代から男色衆道の習慣があり、江戸時代には陰間(かげま)茶屋が乱立し、平賀源内が『江戸男色細見』、『男色評判記』というガイドブックを書くほど賑わっていた。キリスト教の負の遺産である同性愛に対する偏見など、初手からなかったのである。



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