1998年8月の寺だよりに掲載しました

　最新の新幹線のパンタグラフは、飛行機の羽根に似ている。これは、フクロウの羽根がヒントになった。フクロウは、音を立てずに飛んで、夜闇に紛れて小動物を捕食する。静かに風を切る羽根が、低騒音パンタグラフの原形である。
　同様に、「５００系のぞみ」の先頭車両の形は、カワセミの頭部を参考にした。カワセミは、水に飛び込んで、魚を捕る。水と衝突するときに衝撃を小さくするカワセミの頭部は、トンネルへ突入する新幹線の衝撃音を小さくするために参考にされた。
　書店には、数多くのハウツー本が並んでいるが、多くは、さしたる役には立たない。本当の問題解決は、一見、遠回りとも思える試行錯誤の先にある。ＪＲ技術陣の「静かな新幹線」へ向けての努力は、そのことを私たちに教えてくれている。