計4シーズン続いた人気テレビシリーズの「逃亡者」の記念すべき第1話はジョン・フォードやヒチコックに寵用された名花ヴェラ・マイルズがゲスト出演している。
なにせ第1話なので再放送されても観逃すことが多かったが、それでも二回ほど観た記憶がある。
とある町にバスで到着したキンブル医師(デビッド・ジャンセン)。新聞の求人欄で見つけた酒場でバーテンダーとして働き始めるのだが、その店でピアノを弾いているのがマイルズだった。彼女もまたDV夫から子供を連れて逃れ、小さな借家でひっそりと暮らしているわけありの女性だった。
1962年当時すでにDVという重いテーマを扱っているのが、今考えるとすごいが、夫役が「風とライオン」でセオドア・ルーズベルトを演じていた押し出しのいい偉丈夫のブライアン・キースで、線の細いキンブル医師は非常に旗色が悪く、ハラハラする。
また、フォードやヒチコックたち大監督の演技に対するさまざまな高い期待と要望に応えてきたヴェラ・マイルズの繊細な感情表現と向き合うと、ジャンセンの演技はひどく単調で見劣りしているのも気になる。そんなこともありこの回は、観れて嬉しいのか、心配なのか、よくわからなくなってくる。きっと、初回ということで制作陣もマイルズの出演を奮発したのだろうが。
これに対して「逃亡者」の最終回は、個人的に大好きなJ・D・キャノンがゲストだ。終わり良ければすべて良しとは行かないうら寂しいムードが漂っているが、こちらは観るたび嬉しくなる。
J・D・キャノン。「警部マクロード」の上司役で知られている。
「逃亡者」第1話のエンディング。
ジョン・フォード監督「リバティ・バランスを射った男」(1962年)より。左からヴェラ・マイルズ、その父母(ジャネット・ノーラン、ジョン・クォーレン)、ポンピー(ウッディ・ストロード)。ジョン・クォーレンは「捜索者」でもマイルズの父親役を演じている。笠智衆か。
「逃亡者」に、ジャネット・ノーランは西部劇俳優の夫ジョン・マッキンタイアと夫婦で出演していた。
ちなみに、ヒチコックの「サイコ」(1960年)にはマイルズ、ノーラン、マッキンタイアが揃って出演している。
エプロンが似合うノーランだが、オーソン・ウエルズの「マクベス」(1948年)ではレディ・マクベスを演じた名女優だ。
「サイコ」のヴェラ・マイルズ。髪はかつらだ。
いつもコメントありがとうございます。
「フェザー河の襲撃」はテレビの吹き替え版でしたので、3D効果は未体験です(笑)
あの映画は「捜索者」や「馬上の二人」同様、インディアンにさらわれた娘たちの苦難を描いていて、記憶に残る作品でした。
正統派美人のヴェラ・マイルズより、(頬骨が張った)ジョーン・ドルーの方がこの役は似合いそうだな、などと生意気なことを当時考えていたのを思い出しました。