ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

大きなつづらと小さなつづら

2019年10月31日 | 珠玉

  NPO法人なごやかの法人本部事務室へ届け物を持って入って行くと、理事長が地元紙を広げ、熱心に見入っていた。
声を掛けようとして、M事務長が私へしきりに目配せしているのに気がついたのだが、遅かった。
ああ、きみか、今日は介護の日(11月11日)特集ということで、K市内の介護福祉関連企業の広告がまとめて掲載されているんだ。
毎回カラー広告の当法人は、今回はこのように秋色にしてみた。どうだい?
事業所名をずらりと並べるのは悪趣味だけれど、他社がそうなっているため、比べて気にする職員たちもいるので、仕方ないのだ。
この広告群を見ながら「大きなつづらと小さなつづら」の話を考えているうちに、なんだか泣きそうになってしまった。
昔々、あるところに三人の女性がいた。その中の一人は万事控えめで、一番小さくて、見てくれの良くないつづらを選んだ。そのつづらは選んでもらえたことにどうやって応える?感謝の気持ちをどう表わす?
なんとしても、大きなつづらより大きくなるほかないじゃない、ここよりも。
―そう言って理事長は例の「元カレ」の法人の広告を指でさし、トントントントンと神経質に叩いた。

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