ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

血の収穫

2019年06月04日 | ハリウッド

 洋の東西を問わず、ほとんどの小説が映画化されている中で、たった一本だけ、事情があって未着手のものがある。

ダシール・ハメットのハードボイルド小説の金字塔「血の収穫」だ。

黒沢明の「用心棒」はこの小説をベースにしたもので、マカロニウエスタンの「荒野の用心棒」はその無断借用、「ラストマン・スタンディング」は正規のリメイク、「ミラーズ・クロッシング」は「用心棒」と同じレベルのオマージュ。みな公式な映画化作品ではない。

ずいぶん昔にどこかでチラッと読んだことがあるのだが、「血の収穫」は映画化権をイタリアの大(トンデモ)プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが持っていて、彼は主役のコンチネンタル・オプをハリソン・フォード以外では撮りたくない、と考えていたのだそうだ。

ラウレンティスが亡くなってもう久しいが、その権利は同じくプロデューサーの娘がまだ持っているのだろうか。

でも、ハリソン・フォードも老けてしまい、40歳代のコンチネンタル・オプ役はもう難しいだろう。

 小説の映画化作品で、好きなものはたくさんある。エイン・ラントの「摩天楼」、モートン・トンプソンの「見知らぬ人でなく」、ジョセフ・コンラッドの「文化果つるところ」、バーナード・ショーの「ピグマリオン」、キャサリン・アン・ポーターの「愚か者の船」。出来はひどいがジョン・オハラの「秘めたる情事」はストーリーがとてもよかった。

最近、トーマス・ハーディの「遥か群衆を離れて」(1967年)がDVD化されて驚いた。もう一生観れないものと思っていたので。たぶん、2015年に再映画化されたことの余波・恩恵か。2本を観比べてみるのも楽しいかもしれない。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 集合写真 | トップ | 絵筆(再掲) »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。