8月の猛暑の中、隣町の道の駅のカフェテリアでジュースを飲んで一息ついた。
ガラス一枚隔てた外のテラスにもスチールテーブルセットが複数置かれ、屋内からあふれ出た家族連れがまぶしそうな表情で食べ物を広げている。
おや、と思った。
すぐ近くに立っている、痩せて小柄な女性に見覚えがあった。
他県に嫁いだ知人のお嬢さんだった。
すぐ隣には4、5歳の可愛らしい女の子がまとわりつくようにしている。
テーブルの上の食べ終えたラーメンどんぶりやストロー付きのジュースコップ、紙ナプキンなどを手際よくトレイ上にまとめている。
テーブルには妙に険しい表情の夫がイスに思い切り背をもたせかけて座り、スマホをいじっている。その隣の母親も同様。
結局、妻がトレイ二つを捧げるようにして持ち、一人で下膳しに行った。それに娘もついて行く。
サイレント映画を観るようにそのなりゆきを眺めていると、夫が顔を上げ、何見ているんだ、といった顔でこちらを睨み返してきた。
ふだんの僕ならそつなく挨拶に行くところだが、相手にそんな価値もなさそうだし、車の中で「アイツ、お前の知り合いだったのか」などと話題にされるのもつまらないので、注意深く下膳場所を避けながら、施設を出たー。