お盆中の昼休みや夕方の空き時間を利用して、庭木の剪定を行なった。
僕が庭木に手を付けるのはほとんど初めてで、唯一の例外は、三十年以上前に造成予定地から掘り出してきて自室の前に移植した形の悪いもみの木の若木だけだ。
思いついては枝を払ううちに背が伸びて、今や5メートル超に育っている。
庭木いじり、まるでロックじゃない。
そう思って長いこと植木屋や父親に任せきりにしていたのが、どちらも年老いてしまい、ジャングル寸前まで放置していたのを、今回自宅を改修したのを機に自身で手掛けることにした。
気持ちを奮い立てようと、ザ・クラッシュの「ロンドン・コーリング」のTシャツなど着こんで、手ノコと剪定ばさみの人力のみで、ジャングルに挑んだ。
松、かえで、糸杉?、金木犀、銀木犀、椿、つつじ、くちなし、右から左にどんどん枝を落として行く。
やり過ぎてスカスカになるかも、と時々心配になるくらいだったが、この感覚は、自分のワードローブを思い切って処分した際とよく似ていた。
あの時は本当に着たいものだけが残って、クローゼットがより自分らしく濃くなるという意外な結末を得た。
手を止めないためには、これもそう信じるしかない。
猛暑の中、計4日ほどかかって、作業は終わった。
きれいさっぱりした庭を見渡すと、何となく自分のタッチが見て取れる。
やはりそういうものなのだな。
庭の中央に集めた枝葉は、6畳一間ほどの体積になっていた。
自宅の二階から悲しそうな目で僕の作業を眺めていた父親は何も言わなかったけれど、母は陽が差し込むようになって明るいね、と満足そうに言った。そのあがりに、アンタは虫に刺されるとひどく腫れる体質だから、事前に虫よけスプレーを振らないと、と小言も頂戴した。
一体、僕が何歳になったと思っているのだろう。