長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

波はみどり

2022年07月18日 11時12分33秒 | 折々の情景
 一昨日より初伏に入りて蒸す。海の日なり。
 旧友のご実家よりの賜りものの八朔の、最後の一つを食せし折り、ふと、種を蒔いてみむとす。
 ふた月ほどがそのままに過ぎ、やはり無理かと忘れたころ発芽し、双葉が三段目ほどに出ずる。

 ユリ科の雑草の一種と思われるひと本の植物の間近に生え、先に生ふるものは立ち枯れてきたが実を結んだ。
 アールヌーボー調の曲線が、何とも言えぬ風情を醸す、不思議な景色である。
 芳年の新形三十六怪撰の何か…にも似ている。

 12、13、14日と、連日羽化続きの庭に静寂が訪れたものの、未だ檸檬樹に居残っているサナギ二頭が気になるので、朝七時半、様子を見に行く。
 と、一頭のさなぎの周りに俄かに細かい羽虫が群がりて騒がしい。
 余りに恐ろしい風景なので、霧吹きで水攻めを試みるも、どうやらサナギの中から湧いて出てくる。
 …アオムシコバチの誕生。
 彼は寄生されていたのだった。

 大魔神が山から出でて、鬼と化す。
 生育中の幼虫も居ないので、これから来訪せし新たなる幼なごたちの揺籃となることは諦めて、とても久しぶりに殺虫剤を撒く。

 略奪スルモノ サレルモノ ソノ又カタキヲ討トウモノ… 

 世はすべて事も無し…と思えるのはほんの一瞬だけ。


 
  …波はみどり 月はこがねに砕けつつ 
  みなちりぢりの昔かな…


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