坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

アートフェア東京2011 次世代のアートシーン盛りだくさん① 

2011年07月29日 | 展覧会
東日本大震災により延期になっていました国内最大の〈アートフェア東京2011〉が今年6回目を迎え、今日から3日間大規模に開催されています。国内外から約130軒のトップギャラリーが参加し、古美術・工芸品・洋画、そして現代アートまで、時代を超えた幅広いジャンルの作品数千点が展示販売されます。
今回は東京国際フォーラムのロビーギャラリーにおいて、復興支援のプラットフォームとなる関連企画も開催されていました。
海外からの出展は、ソウル、北京、ニューデリー、パリなど10都市からの出展で、3日間で五万人の入場者数が見込まれています。これまで10億円規模の収支を推移していますが今年はどうでしょうか。
会場では、各ブースに仕切られたギャラリーがそれぞれのアイコンとなるアーティストの作品を個性豊かに展示。宝石箱をひっくり返したようなきら星のアートを楽しみました。
古美術の陶器のブースの隣に最前線のフィギュアの作品などが設置されるシチュエーションは、アートフェアならではのマッチングで、水準の高い作品は時代を超えて共鳴しあう何かがあるように思います。
会場で目を引くのは、フィギュア的な流れとフェアリーなファンタジアの絵画の流れで、動物をさまざまにアレンジしたテーマが多く見られました。
・会場内のギャラリーのコーナーですが、壁面の絵画は、有井カヅキさん(1979年~)の〈さびしん坊 少女をすくふ図〉ギャラリー紅屋。(右作品)幕末の浮世絵師、国芳を思わせる大胆な構図と大海の波に浮かぶ少女などをアニメチックな明暗法と精緻なタッチで描きこみ、不思議ワールドに引き込みます。従来の日本画的な手法とSF的な映像的なタッチの混交も一つの流れであると感じました。

◆アートフェア東京2011/開催中~7月31日/東京国際フォーラム(有楽町)