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【血統・配合】ハーランズルビーの2021(ターファイトクラブ募集馬 牝 父ディープブリランテ)

2021年10月06日 | クラブ募集馬
ターファイトクラブの当歳募集が10月25日から開始予定とのことで、当場からは2頭の当歳牝馬を提供させていただくことになりました。

今回はそのうちの1頭、ハーランズルビーの2021(牝、父ディープブリランテ)を紹介させていただきます。









本馬は繁殖本場での離乳を終えた後、8月下旬に高江第1(1歳)分場に移動しました。

普段から気の強さを前面に見せることがあり、放牧の際にイレ込み気味になることもあるのですが、このあたりは全兄モズベッロの幼少時を思い出させます。

モズベッロのほうは気の強さがあった一方で、離乳をして1歳分場に移動した当時は放牧地でなかなか掴ませなかったり、1歳になっても馬房内で捕まるのを嫌がるときがあるなど、牡馬にしては繊細な面がありました。

それに比べると、本馬は全兄同様に気の強い面があるものの、牝馬とはいえ気難しさや繊細さは今のところ感じられません。

馬体的にはディープ系の産駒にしては胴回りがしっかりとした馬体で、四肢の筋肉量も多く、牝馬ながら力強さを感じさせます。

このあたりは、父ディープブリランテの馬体的特徴が出ている印象です。

モズベッロもそういう馬体をしていたので、この兄妹は毛色こそ異なりますが、馬体の雰囲気は似ています。

全兄のように、本馬も力のいる馬場を得意とする可能性があると感じていますし、牝馬なので全兄以上の牝馬らしい瞬発力が備わってくれればと期待しています。



父ディープブリランテは、彼の父ディープインパクトにとって初のダービー勝ち馬となった産駒です。

他のディープ産駒とは異なり、ややコロンとして見た目に力強さを感じさせるシルエットですが、歩様の柔らかさなどはこの父系の良さが良く出ています。

ディープブリランテの産駒も、本馬や全兄モズベッロがそうであるように、父に似て力強い馬体が多い印象です。

同時に柔軟性も父から受け継ぐことが多いことから、サンデー系らしくモズベッロのように芝戦線で活躍する馬も出る一方で、その力強い馬体からダートに適性を示す産駒も少なくありません。

2021年10月5日現在(netkeiba調べ)、ディープブリランテ産駒によるJRAの勝利回数の約3割がダートによるものでした。

ディープインパクト産駒のJRA勝ち数が芝9割に対してダート1割程度であることを考えると、ディープブリランテが産駒に対して少なからずダート向きのパワーを伝える種牡馬であることがわかります。

ディープブリランテ産駒のなかでも、収得賞金上位の産駒50頭(10月5日現在、netkeiba調べ)の血統を調べてみると、次のような血統傾向が見受けられました。


①母方にNasrullah / Princequilloのニックから成る血脈(もしくはその類似形)が存在する…34頭 / 50頭中

②母方にMr.Prospectorの血が入っている…30頭 / 50頭中

③母方にNijinskyの血が入っている…18頭 / 50頭中

④母方にSpecial(Thatch、Lisadell)の血が入っている…17頭 / 50頭中

⑤母方にRobertoの血が入っている…14頭 / 50頭中

⑥Haloクロスを持つ…12頭 / 50頭中
※このうちサンデーサイレンスのクロスを通じてのもの…4頭 / 12頭中

⑦母方にGraustark(His Majesty)の血が入っている…11頭 / 50頭中


①に関しては、父ディープブリランテがNasrullah / Princequilloのニックから成る血脈(もしくはその類似形)としてSir Gaylord、RivermanそしてRose Bowerという3本の血脈を持っているので、母方に同様の血を持っていると相似クロスを形成できます。

本馬の母ハーランズルビーの血統にも、SecretariatやDowagerという同様の血統傾向を持つ血脈が存在します。

ただ、このニックから成る血は多くの繁殖牝馬の血統に存在するので、これをもってディープブリランテ産駒の血統的長所と呼ぶには根拠が薄いかもしれません。

②については、父ディープブリランテが自身の母方にMiswakiを通じてMr.Prospectorの血を持っているので、繁殖牝馬もこの血を持っていると産駒にはMr.Prospectorクロスができることになります。

本馬も母方にGone Westを通じてMr.Prospectorの血があるので、結果としてMr.Prospector6×5のクロスを有します。

③については、正直なところこの50頭の血統を調べるまで、ここまでNijinskyの血を持つ活躍産駒が多いとは思っていませんでした。

ただ、ディープブリランテは血統的にNijinskyと相性の良いHaloやBuckpasserといった血を持っているので、血統面からは理にかなっています。

本馬はNijinskyの血を持っていないので、③には該当しません。

④のSpecial=Thatch=Lisadellの全きょうだいについては、父ディープブリランテがNureyevを通じてSpecialの血を持っていることが要因でしょう。

母方にSpecial、Thatch、Lisadellの全きょうだいいずれかの血を持つことで、産駒はSpecialクロスあるいはThatch、Lisadellとの全きょうだいクロスを形成することができます。

また、このSpecial=Thatch=Lisadellの母父であるNantallahは、Mr.Prospectorの母父Nashuaと相似クロスを形成する関係にあります。

すなわち、ディープブリランテ産駒にとっては②の傾向とも密接に関係する血統傾向になります。





本馬の血統にはSpecial(Thatch、Lisadell)の血がないので、④には該当しません。

⑤の母方にRobertoの血を持つディープブリランテ産駒が活躍傾向にあるというのも、④と同じ理由になります。

すなわち、Robertoの母父もまた、Mr.Prospectorの母父と同じNashuaだからです。

もう少しマクロな視点で見ると、Mr.Prospectorの母Gold DiggerはRobertoの父Hail to Reasonと相似クロスを形成する関係ですし、さらにGold DiggerはRobertoの母Bramaleaとも相似クロスが形成します。


【Gold Digger≒Hail to Reason】


【Gold Digger≒Bramalea】



Gold Digger≒Hail to Reasonに関しては、父ディープブリランテ自身が持っていた相似クロスなので、産駒はそれを血統的に踏襲することで活躍することができたのでしょう。

本馬はRobertoの血は持っていないので、⑤には該当しません。

⑥のHaloクロスに関しては、ディープインパクト産駒に見られる特徴でもあったので、ディープブリランテ産駒の代でも試された配合なのでしょう。

本馬の血統はHaloクロスを持っているので⑥に該当しますが、その理由はまさに上記の血統傾向に倣ったからだと言えます。

ちなみにHaloクロスを持つことで、父ディープブリランテが持っていたGold Digger≒Hail to Reason(Haloの父)の相似クロスを活かすことができます。

⑦については③のNijinskyと同じ理由で、これら50頭の血統傾向を調べるまで、これほど多くの活躍馬たちにGraustark(His Majesty)が入っているとは思いませんでした。

ただ、ディープブリランテやその産駒たちの馬体を見ていると、サンデー系のなかでも力強さを感じさせる馬体が多いのも確かです。

NjiinskyやGraustark(His Majesty)の血、とりわけ後者はパワーを後世に伝える傾向にある血脈なので、ディープブリランテ産駒の馬体傾向にマッチするのでしょう。

本馬はGraustark(His Majesty)の血は持っていないので、⑦には該当しません。

こうして見ると、本馬の血統は7項目の活躍傾向のうち、3つの傾向に該当することになります。



一方、本馬の母ハーランズルビーの視点から本馬の血統を考えてみると、ハーランズルビーがStorm Cat系種牡馬のHarlan's Holidayであることがポイントだと思います。

父ディープブリランテがディープインパクト産駒であり、そこにStorm Catの血を引くハーランズルビーと配合したことで、ディープインパクト×Storm Cat牝馬の成功配合を踏襲する形になりました。

Storm Catという血脈は、Northern Dancerの血を持つのと同時に、Nasrullah / Princequilloのニックから成る血脈すなわちSecretariatの血も有しています。

ディープインパクトの母父Alzaoも同様の血統傾向を持つので、これがディープインパクト×Storm Cat牝馬がニックス配合と見なせる要因と考えられます。





ディープブリランテの血統では、Alzaoのほかに彼の母父Loup Sauvageも同様の血統背景を持っているので、ディープブリランテ自身がAlzao≒Loup Sauvageによる相似クロスを持っていることになります。





そこにStorm Catの血を加えることで、本馬の代ではAlzao≒Loup Sauvage≒Storm Catという相似クロスが形成されます。

一方で、本馬の母ハーランズルビーの血統には、Mr.Prospector≒Marshua's Dancerによる3/4同血クロスが内包されています。

そこにMr.Prospectorの血を持つディープブリランテと配合することで、この相似クロスを継続強化する配合にしました。

さらには、本馬の血統ではMr.Prospectorの息子同士であるMiswaki≒Gone Westによる相似クロスもあるので、このラインが一層強化される血統パターンになっています。







このように、父ディープブリランテの血統傾向を活かしながら、母ハーランズルビーの持つ北米血脈主体の血とクロスさせることで、本馬はパワフルなスピードを持つ血統背景を有するに致しました。

すでに成功例として全兄モズベッロの活躍がありますが、性別は異なるものの、本馬にも同じ血が流れているので大いに期待しているところです。

彼女の成長具合についてはこのブログで定期的に報告する予定ですので、ターファイト会員の皆さまには出資検討も含めて今後も是非ご注目ください。


【関連記事】セレクションセール上場馬№ 157 ハーランズルビーの2016(モズベッロのセール上場時の紹介記事)




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