今年のセレクションセールは7月25日に前日展示、さらに7月26日の第1日目と7月27日の第2日目という、計3日間による開催になります。
当場からは3頭の合格馬が出ていて、第1日目に2頭、第2日目に1頭を上場予定です。
今回は第1日目に上場予定である、セレクションセール№70エイシンキルデアの2021を紹介させていただきます。
なお、本馬の牝系解説文についてはこちらをご参照ください。
【7月5日現在】体高160cm 胸囲179cm 管囲20.5cm 馬体重467kg
本馬は現在、当場1歳分場にて昼夜放牧をしながらセリ馴致をしています。
当場の方針として、当場内でセリ馴致する際はセリに向かうことだけを目的とせず、将来の競走馬という意味でもしっかりと基礎体力を付けて送り出したい思いから、昼夜放牧も同時に実施しています。
現7歳でG3武蔵野S勝ちのソリストサンダー、現6歳でG2日経新春杯勝ちのモズベッロ、現5歳で国内外の重賞4勝のディープボンド、そして現4歳でG3エプソムC勝ちのノースブリッジ。
彼らはすべて当場生産によるセール上場馬ですが、すべて当場内で昼夜放牧をしながらセリ馴致をしてセール上場した馬たちです。
正直なところ、昼夜放牧をしながらセリ馴致をすると疲労が溜まりやすいのですが、そのあたりは獣医に相談するなどして適切なケアをしてもらって対応しています。
当場はセール2カ月前からセリ馴致をするのですが、本馬もセリ馴致を始めて1ヶ月ほど経過した頃に疲労が出てきました。
それでも、獣医にケアしてもらった後はさらに一回り成長して、現在はキタサンブラック産駒らしく少し薄手ながらも体高があって堂々とした馬体に成長しています。
父キタサンブラックの産駒はその成長曲線のためか、2歳夏のような早期のデビューに向いた体型ではなく、雄大な馬体からも長めの距離の鞍が揃う2歳秋以降のほうが成績が目立ちます。
一方で、産駒は決して晩成タイプというわけでもなく、このあたりは父がG2スプリングSを制してG1皐月賞3着の実績があることと無関係ではないでしょう。
当場では供用初年度からキタサンブラックを配合していて、これまで彼の産駒が何頭か生まれていますが、他の種牡馬に比べて産駒における骨格の狂いが少ない印象です。
父がディープインパクトではなくその全兄ブラックタイドであったりなど、素晴らしい競走成績の割りには種牡馬として様子見されていた感のあるキタサンブラックですが、初年度産駒からクラシック級のイクイノックスを出すなど順調なスタートを切っています。
キタサンブラックを配合するだけである程度距離が持つ馬が生まれると予想していたので、あとは如何にして彼の持つスピード血脈を強化するかを念頭に置きながら、適切な繁殖牝馬を選んできたつもりです。
エイシンキルデアとの配合を血統面から考える上で、キタサンブラックがブラックタイドを経て持つAlzaoの血と、エイシンキルデアの2代父であるEl PradoによるAlzao≒El Pradoの相似クロスを意識しました。
いずれも2代父がNorthern Dancerで、母の父がSir Ivorという関係です。
Alzaoは中距離スピード、El PradoはSadler's Wells産駒ながらやや短めのスピードに秀でていました。
このような血統の組み合わせから、本馬が彼らのスピードを受け継いでくれたらと思っています。
また、Sir Ivor(英ダービーをはじめマイル戦線でも活躍)についてですが、この血脈はエイシンキルデアの母方にあるHopespringseternal(Miswakiの母)と血統的親和性が高い関係です。
本馬の母エイシンキルデア自身が、このSir Ivor≒Hopespringseternalの組み合わせを持っていて、本馬の代で継続強化する血統パターンになっています。
さらにSir Ivorは、本馬の2代父ブラックタイドが持つHaloと血統的親和性が高く、ブラックタイド自身がHalo≒Sir Ivorを持つので、本馬はそのクロスを強化する配合になっています。
このように、本馬の血統パターンにおいて、Sir Ivorの血は重要な役割を果たしていると考えています。
一方で、違った視点でキタサンブラックの血統表を見たとき、短距離スピードの血脈として最も注目できるのは彼の母父サクラバクシンオーだと思いますが、この血はエイシンキルデアの持つBaldskiと組み合わせることで強化できるのではと考えました。
サクラバクシンオーはG1スプリンターズSを連覇した名スプリンター、Baldskiはマイル戦線でスピードを発揮した馬で、BCジュベナイル勝ち馬のCapoteや多くの芝G1を制したExcellerの半きょうだいです。
血統的には、サクラバクシンオーの母であるサクラハゴロモの2代父がNorthern Dancerであり、その母方にはBull Leaを持つのですが、この血統パターンはBaldskiの父Nijinskyにも見られます。
また、サクラバクシンオーの父サクラユタカオーはNasrullah3×4を持っていて、Baldskiの母Too BaldもまたNasrullahを2×3で持つという関係です。
こうして見るとサクラバクシンオーとBaldskiの血統背景には共通点がありますし、Nasrullahは爆発的な短距離スピードを伝える血脈なので、これらの組み合わせが本馬にも好影響を与えてくれるのではと期待しています。
ここまで挙げてきた以外にも、血統的に細かい部分で相性が良さそうと判断して、キタサンブラック×エイシンキルデアの配合から本馬が生まれました。
幅よりも体高が伸びるなかで、いま現在は少し細身でスラッと見せる馬体ですが、骨格がしっかりしているので成長とともに見栄えのする立派な馬体になると思っています。
本馬に興味のある方は、当場HPからご連絡いただくか、当ブログに連絡先を添えてコメント欄にご記入くださるようお願いいたします。(表示はされません)
当場から折り返しご連絡させていただきます。
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キタサンブラック産駒の活躍が目立っていますよね。
当場としてもセールに向けて自信を持って上場した馬なので、早期デビューのタイプではないかもしれませんが大きな期待を寄せています。
本馬を含めて今後とも当場生産馬に是非ご注目ください。