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【血統・配合】ラヴァーズレーンの2019(牝 父ホッコータルマエ ターファイトクラブ提供馬)

2019年11月22日 | クラブ募集馬
今回は、ターファイトクラブ当歳馬募集にて当場から提供しているラヴァーズレーンの2019について紹介します。








10月上旬に開催されたターファイトクラブ秋のツアーでは、北海道市場にて皆さんにご視察いただきました。

離乳済みの状況でツアーに参加した本馬は、10月中旬には繁殖本場から1歳分場へ移動。

当初からどっしりとした気性をしていたので、環境の変化にもすぐに順応しました。

牝馬ながら馬格に恵まれていて、当場の当歳馬のなかでは一回り大きな馬になるでしょう。

母ラヴァーズレーンが19歳時に産んだ本馬ですが、母が高齢とはいえ整歯や飼養管理などをこれまで徹底してきているので、高齢馬による産駒の馬体的短所は見られません。

具体的には骨量も牝馬として十分ですし、飼い葉の吸収効率も良く馬体に張りがあり、馬体の内面の強さも窺わせます。

このまま順調に行けば、本馬の半姉で同じターファイトクラブでお世話になったスルターナ(牝、父キングヘイロー)に見劣りしないレベルにまで成長しそうな気配です。


父のホッコータルマエは、このブログで初めて扱います。

現1歳が初年度産駒であり、1歳馬セールに上場されていた産駒たちを見ましたが、ホッコータルマエ産駒は馬っぷりが良く見栄えがするのが特長です。

本馬の馬体の出来は明らかに良いと言えるレベルにありますが、セール上場馬を見ていると、本馬も含めてホッコータルマエ産駒は全体的に出来が良いと言えるかもしれません。

そのためか、今年の種付頭数は3年目にして初の200頭台に到達しました。

サンデーの血を持たないキンカメ系種牡馬ということ以外にも、初年度産駒の出来の良さが伝わって人気を博したのでしょう。

そのホッコータルマエですが、自身はMr.Prospector3×5を持ちます。





キングカメハメハ産駒のなかでもMr.Prospectorクロスを持つのは成功パターンと言える配合ですが、なかでもダート路線での活躍が目立つ印象で、最近ではJBCクラシック(Jpn1)を勝ったチュウワウィザードもこのパターンです。

キングカメハメハはNijinskyの血を持っていますが、この血はMr.Prospectorと比較的相性が良い血なので、キングカメハメハ産駒が持つMr.Proscetorクロスをサポートするのかもしれません。





Mr.Prospector≒Northern DancerによるNearco×Native Dancerのほか、Miss Dogwood≒Bull PageによるBull Dog×Blue Larkspurの相似クロスも成り立つ関係です。


ホッコータルマエの血統においては、彼の母マダムチェロキーの血統にも注目すべきです。

マダムチェロキーは父Cherokee Run内のBetter Self≒Blue Eyed Momo、そして母父Unbridledが持つBetter Self≒Busandaを通じてBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaというパワフルな米血脈による相似クロスを形成します。





1つの血統表の中に3つの血脈を押し込めていますが、War AdmiralとLa TroienneそしてBlue Larkspur(もしくはその2代父Black Toney)を持つことでそれぞれ相似関係にあります。

彼女の息子であるホッコータルマエはBuckpasser6×7を持つほか、Sex Appealを通じてBusanda≒Mr.Busherも持っていて、これらはBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaを継続強化する血統パターンになります。

このように、ホッコータルマエの血統に関してはMr.Prospectorクロス+Nijinsky、さらに彼の母由来のBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaによる相似クロスというのが彼の血統的特徴だと考えています。


次に本馬の母ラヴァーズレーンについても触れておきましょう。

ラヴァーズレーンはメジロライアン×モガミヒメの配合になりますが、メジロライアンを配合相手に選んだ理由の一つは、モガミヒメの血統にHyperionのラインがあまり入っていなかったので、その血をうまく入れたいと思って馬格的にも優れていたメジロライアンを選びました。

Hyperionの血は一瞬の切れ味は伝えませんが、持続するスピードを伝える傾向にあるので、モガミヒメ牝系がもたらす短距離スピードをもう少し持続させる狙いがありました。

また、ラヴァーズレーンの血統に関しては以前にこのブログ内の記事で扱ったことがあるので、そちらをご参照いただきたいのですが、彼女の血統パターンは大きく分けて3つ特長があります。


①Mahmoud≒Nasrullahによるスピード系の相似クロス

②Prince Chevalier≒Princequilloの相似クロスがもたらす中距離系のスタミナ

③Bull Poise≒Gagaによる米血脈による力強い牝馬クロス


①に関しては、ホッコータルマエが母父Cherokee Run(米G1BCスプリント勝ち馬)を通じてNasrullahやMahmoudさらにはRoyal Chargerがもたらす短距離スピードの血脈があるので、これと合わせることでラヴァーズレーンの持つスピードを継続強化できると考えました。





②に関しては、ラヴァーズレーンの2019の代でPrince ChevalierクロスとPrincequilloができるので、ラヴァーズレーンの持つPrince Chevalier≒Princequilloの相似クロスを継続強化できます。





③に関しては、Bull Poiseはアンバーシャダイの母父であるAmbiopoiseの母であり、GagaはTom Foolの母になります。





ラヴァーズレーンの母であるモガミヒメがTom Fool4×5を持っているので、その血統傾向を活かす意味でもBull Poise≒Gagaは意味がある思います。

また、ラヴァーズレーンの2019の代では父ホッコータルマエが持っていたBuckpasserクロスが継続されます。

Buckpasserの父はTom Foolなので母ラヴァーズレーンの血統的特徴を活かすことができますし、Buckpasserの母Busandaを通じてホッコータルマエの血統傾向を継続することもできます。

さらに、本馬の血統ではNijinsky7×5ができるほかMr.Prospector≒Alydarの相似クロスもできるので、これもまたホッコータルマエの血統パターンの継続につながります。


こうして見ると、父母それぞれの血統パターンを活かすような配合になっていることがわかると思います。

ラヴァーズレーンの2019自身の馬体を見ると、馬体のバランスや四肢の丸味を帯びた筋肉などを見ると、どちらかと言えば父似の印象です。

ただ、牝馬でも骨格がしっかりしているのはラヴァーズレーン産駒の特徴でもあるので、このあたりは両親の影響と言えるかもしれません。

牝馬ながら気性的にどっしりとしていて、教えたことを比較的素直に覚える面もあって、当場としては扱いやすいタイプの牝馬です。


配合レベルではある程度の素質を与えたつもりなので、あとはしっかりと飼養管理をして強い馬に育つように成長をサポートしていきます。

ターファイトクラブの会員の皆さまには、この記事が出資馬選定の一助になれば幸いです。

今後とも、ラヴァーズレーンの2019の成長ぶりに是非ご注目ください。




2 コメント

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Unknown (ふるふる)
2019-11-25 23:18:53
いつも詳細な血統解説をありがとうございます。
先日、本馬に出資させていただきました。

カタログ写真でもしっかりした立ち姿が印象的でしたが、
配合面からも力強さが伝わっていそうで頼もしく感じます。

ホッコータルマエは、同じ非サンデーのキンカメ系種牡馬である
ロードカナロアやルーラーシップとは違ったタイプの産駒が出てきそうで面白いですね。

両親のようにタフに活躍してくれることに期待して、
成長を楽しみに見守っていきたいと思います!
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Re: ((有)村田牧場)
2019-11-26 07:13:12
>ふるふるさん

いつもコメントありがとうございます。
そして、本馬へのご出資ありがとうございます!

配合段階で父母それぞれの馬体や兄姉の特徴から、ある程度立派な馬体で生まれるだろうと予測していましたが、こちらの思惑通り立派な馬体に出てくれました。
骨量なども、牝馬ながら当場生産の他の当歳馬たちと比べてみても平均以上の持ち主で、そこにダート血統らしい筋肉が付いているので見栄えがします。
順調に行けば、ふるふるさんが期待するようにタフな活躍が見込める馬に成長する可能性は十分にあると思います。

同じキンカメ系のなかでも、ロードカナロアやルーラーシップに比べてホッコータルマエはダート適性が高い種牡馬になるでしょうね。
その意味では産駒の特徴が少し異なるかもしれませんが、タルマエに求められているのは「ダート適性の高い非サンデー系種牡馬」という点でしょうし、本馬もホッコータルマエ産駒らしいダート系の馬に成長すると思います。

不定期ではありますが、このブログでも本馬の成長ぶりをアップ予定なので、今後ともよろしくお願いいたします。
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