ロック探偵のMY GENERATION

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『猿の惑星:新世紀(ライジング)』

2022-07-28 22:17:27 | 映画


映画『猿の惑星 新世紀』を観ました。

昨日はキングコングについて書きましたが、まあそこからの霊長類つながりということで……

『猿の惑星』も、シリーズ作が多数あります。
私はそこそこ観てるつもりではありますが、それでもまあ半分ぐらいでしょうか。この作品も、買った後になって前作にあたる作品を見ていないということに気づきました。
まあしかし、前作を見ていなくても十分に楽しめると思います。
下は、その予告動画です。

映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』予告編

一応、前作を観ていない人のために、映画の冒頭部分でここまでのあらすじが紹介されています。
サルインフルエンザの蔓延によって文明が崩壊した世界……このあたり、タイムリーなんじゃないでしょうか。


『キングコング』とは、単に霊長類つながりというだけではありません。
この映画もまた、戦争というものについて考えさせられる内容となっています。
観ていると、ああ戦争というのはこうやって起こるんだなあと感じ入ってしまうのです。これはもう誰にも止めることはできないんだな、という絶望感とともに……

ことの発端は、ダム。

わずかに生き延びた人間たちはコロニーを形成しており、電力供給のために近くにあるダムを復旧させようとします。しかし、そのダムがある山は、猿たちの縄張りになっているのでした。

相手に対する不信感を持った者がそれぞれのグループ内にいて、その一部は不信感を超えて憎悪を持っている……
平和共存主義者は、なんとか相互不信を克服しようと努力を積み重ねていきます。
そうして、苦心のすえにようやく信頼関係ができ、共存の基盤を作る。しかし、好戦主義者がそれを一瞬で台無しにしてしまう……
問題は、この両者が圧倒的に非対称であるということです。
共存のための努力はまるでカードの家を建てるような営みですが、それを崩すのはいたって簡単。
好戦主義者は、共存主義者の努力を一発の銃弾で台無しにしてしまえる。好戦主義といわないまでも、銃を背中に隠しての交渉は、不信感を醸成し、結局のところ成就しない……そういうことでしょう。


ここで、音楽について。

この手の映画はやはり、歌の使い方というのも重要になってきます。
昨日の『キングコング』でも音楽に着目しました。島に爆弾を落とすシーンで流れるブラックサバスの Paranoid。あるいは、ジャングルのなかで流れるCCRの Run through the Jungle …こういうところで、にやりとさせられるわけです。ちょっと前に紹介した『エイリアン:コヴェナント』では、なんと「カントリー・ロード」が使われたりしていましたが、これも、意外な選曲のようでありながら、さりげなく映画のテーマに絡んでいて、巧妙といえるでしょう。
そして……今回の『猿の惑星 新世紀』では、ザ・バンドの The Weight が劇中で使われています。
この曲をザ・バンドがエリック・クラプトンと共にやっている動画がYoutubeにあったので、リンクさせておきましょう。

The Band with Eric Clapton Perform "The Weight"

この曲が流れるのは、ダムの復旧作業が完了し、電力供給が再開される場面。
復旧した電力でレコードがかけられ、そこでThe Weight が流れてくるのです。うまい演出といえるでしょう。

その後、人間たちのコミュニティはお祭り騒ぎになり、猿たちもそれを祝福し、共存の道が開けたかと思われました。
しかし……実は、このときすでに破局ははじまっているのです。

最終的に戦いが避けられないだろうというのは、映画的な原則からしても、このシリーズの宿命としてもあきらかなんですが……しかしそれでも、何とかこのまま終わってくれないものかなあと思ってしまいます。そして戦いがはじまると、やっぱり穏やかなままでは終わってくれないんだなあという一抹の寂寥を感じずにはいられません。『猿の惑星』はいつでもそうであるように、『新世紀』もまた、深く考えさせられる映画なのです。まあ、昔の『猿の惑星』だったらもっと救いのない結末になってたと思いますが……


 


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