ロック探偵のMY GENERATION

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NRA、破産法適用を申請

2021-01-16 20:16:53 | 時事


全米ライフル協会(NRA)が、破産法適用を申請したというニュースがありました。

NRAといえば、銃規制に反対する団体。
政治的に大きな影響力をもつ組織でもあります。
資金も豊富。今回の件も、破産といってはいますが、実際には、現在拠点を置いているニューヨーク州からテキサス州へ移転するための便宜的な措置だそうです。

彼らの思想の根底にあるのは、“武器をもつ権利”を保障するアメリカ合衆国憲法修正第二条。

銃を持つ権利というのは、圧制者に対して抵抗する権利の具現化であり、ここには難しい問題もあります。

しかしどうやら、銃規制反対の背後には、「刀は武士の魂」というのと似て、銃はアメリカ建国の魂であるというような精神論もあるらしいです。
その精神論の部分が行き過ぎてしまうと、ちょっと危険なことになってしまいます。私のみるところ、NRAという団体は、そういう危険な領域に踏み込んでいる雰囲気があります。
さらに、銃というものは、そのシンボリズムとしてマッチョイムズと親和性があり、そこがくっつくと非常にめんどくさいものになってしまうのです。

ビートルズの Happines Is a Warm Gun という歌があります。

Happiness Is A Warm Gun (2018 Mix)

この歌のタイトルは NRAのスローガンです。幸福とは、(発射した後の)熱をもった銃である――まさに、これ以上ないぐらいあからさまなファルシズムの発露といえるでしょう。ビートルズの名誉のためにいっておくと、彼らがこういう歌をうたったのは、そのマッチョイムズをコケにする意図だというのが一般的な解釈です。

これをさらにこじらせると、偏狭なナショナリズムや国家主義と結びついておそろしく面倒なものができあがります。
先日の、トランプ支持者による米議会占拠事件でも、参加者の中に銃規制反対派が含まれていたことがあきらかになっていますが、それもむべなるかなというところでしょう。

先述したように、今回のNRAの破産法適用申請は、ニューヨークからテキサスに拠点を移すのが目的ということなんですが……これは、資金流用疑惑でニューヨーク州の検察から訴えられているということが背後にあります。訴えを起こされると、逆に「腐敗と規制だらけ」と州を批判し、出ていくといっているわけです。この手の組織の行きつくところは、いつでもどこでも同じなのだなあ、とあきれさせられる話でした。