昨年の話になってしまうんですが、リンゴ・スターがサーの称号を与えられたそうです。
いうまでもなく、ビートルズでドラムを叩いていたあのリンゴです。
ビートルズでは、ポール・マッカートニーに続いて二人目だそうです。
このニュース、祝福してよいものかどうか、迷います。
先日このブログで紹介した福島清彦さんの『ヨーロッパ型資本主義』にも書かれていましたが、イギリスは勲章社会なんだそうで、勲章を受けることがかなりステータスになってるようです。
それだけなら別にいいんでしょうが、問題なのは、それが労働の軽視と表裏一体になってるということです。
日本だと、毎日働いている名もない労働者が偉いという考え方がそれなりに共有されていて、歌やドラマなんかにたびたび表現されていると思います。しかし、イギリスにはそういう感覚があまりないそうなんですね。労働というのが、つまらないことというふうにしかとらえられていない。そのことが、イギリスの凋落につながっていると福島さんはいいます。労働に価値が認められていないことが、労働の質の悪さを招いているというのです。
そういうことも踏まえて考えると、勲章もらって万歳なんてことでいいのか、と思わされます。
ビートルズのことでいえば、メンバー全員、過去にMBE勲章というものをもらってます。
しかし、ジョン・レノンは後にこれを返上してるんですね。ナイジェリアのビアフラ内戦に関するイギリスの態度に抗議するため、というのがその理由です。
これでこそロックだと私は思います。
やっぱりロックンローラーは、勲章をもらって満足してちゃいけないんですよ。むしろ、偉い人の側が、こいつらに勲章をやるのはちょっとな……と躊躇してしまうぐらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。