むらぎものロココ

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ピエトロ・A・ロカテッリ

2005-08-29 01:48:00 | 音楽史
66721LOCATELLI
L'Arte del Violino, Op3
Elizabeth Wallfisch(violin)
Nicholas Kraemer
THE RAGLAN BAROQUE PLAYERS

ピエトロ・アントーニオ・ロカテッリ(1695-1764)はベルガモに生まれた。聖マリア教会でヴァイオリンの手ほどきを受けたあと、1711年にローマでヴァレンティーニから本格的にヴァイオリンを学んだ。一説ではコレッリに学んだとも言われているが、当時のコレッリの健康状態からすると直接教わることはできなかったのではないかと推測される。1717年から1723年まではサン・ロレンツォ・イン・ダマソで活動していたようであるが、1723年から1729年の間はマントヴァ、ミュンヘン、ドレスデン、ベルリン、カッセルなどヨーロッパ各地の宮廷をまわり、ヴァイオリンの名手として名声を博した。カッセルではルクレールと共演した。1729年からアムステルダムに移り、アマチュアの音楽家を指導したり、彼の作品の楽譜印刷に関して15年間の独占権を得たり、イタリア製のヴァイオリンの弦を輸入販売したりしながら、そこで生涯を終えた。
ロカテッリは1年間に何十挺ものヴァイオリンを使い潰すほどの激しさで演奏すると言われた。また、引っ掻くような音と左手のテクニックから悪魔のようにヴァイオリンを弾くとも言われた。彼の作品はほとんどがヴァイオリン・ソナタとコンチェルトであり、コレッリとヴィヴァルディを融合したような作風で、「ヴァイオリンの技法」と題した12曲からなるヴァイオリン協奏曲集で知られている。ここで彼は第1楽章と第3楽章にカデンツァとしてカプリッチョを付けた。即興的なカデンツァを楽譜に記したのはロカテッリが最初とされている。このカプリッチョだけが演奏される場合もあり、これがパガニーニの「24の奇想曲」につながっていくのである。そうした意味でもロカテッリは「18世紀のパガニーニ」であった。


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