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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

シリーズ 医療制度改革① 「なぜ今なのか?」

2006-07-07 11:20:35 | シリーズ 医療制度改革
『高齢者に重荷次々』
『高齢者 重い自己負担』

6月14日に成立した医療制度改革関連法を紹介する新聞見出しには、上記の言葉が並んでいる。
今年に入って、さまざまな形で診療報酬の引き下げが行われており、医療の分野でも大きな混乱がみられている。
特に整形外科病院では、術後180日以上経過した後のリハビリについては、医師の指示がなければ診療報酬が出なくなってしまう。一時期、病院側の不満、患者の不安がメディアを賑わせていたのを記憶している方も多いだろう。

13万床ある老人病院(療養型病床群)を今後6年間で全廃し、25万床ある医療型の老人病院も10万床削減、という目標値も示され、今から高齢者の行き場所や財源についての議論がされている。

大きな注目を集めているメタボリックシンドロームに照準を当て、2008年4月からの40歳以上の健康診断を義務付けたのも今回の制度改革の一面である。
その他にも、薬剤師による「宅配」を可能にしたり、訪問診療の見直しも図られている。

今回の一連の医療制度改革は、すべての面で抜本的な見直しが図られているが、同時に多くの痛みを国民、特に日々の生活も苦しい弱者に向く形になっている。

なぜ今なのか?
厚生労働省は、医療給付費の増大を挙げている。すべてはお金がない、という話からきている。
75歳以上の高齢者に新しく保険制度を創設するのも、お金がないからだ。

厚労省は、制度改革がなければ、2025年には、医療給付費が現在の倍以上の56兆円まで膨れ上がるとしている。
今回の改革で、それが48兆円に抑えられるという計算だ。

しかし、なぜ今制度改革をするのかという違和感を拭い去ることはできない。それは、この改革が、医療の制度内だけでのものでしかないからだろう。
少子高齢化は誰もが分かりきっているはずなのに、その対策と連動するわけでもなく、三位一体の改革により歳出削減を義務付けられ、決められた範囲内だけでの数字合わせをしているだけではないか。
そのしわ寄せをくっているのは、社会的弱者である。

それでも、医療制度改革は着実に進み、私たちの生活に大きな影響を及ぼすものである。
これから、改革の中身をひとつずつ見ながら、今後のあり方も含めシリーズで探っていきたいと思う。

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