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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

シリーズ 医療制度改革② 「増える負担」

2006-07-17 17:50:25 | シリーズ 医療制度改革
今回の医療制度改革によって、最も大きな変化と痛みを伴うのが高齢者になるだろう。

これまで70歳以上の高齢者が病院などの窓口で支払う患者負担は、一般的な所得の人で1割。現役並みの所得がある人は2割負担となっている。

この昭和58年に導入された老人保健制度が平成20年度に廃止になり、新たに広域連合(県単位で組織された)が運営する75歳以上を対象とする『後期高齢者医療制度』が導入される。

平成20年度からすべてがガラリと変わるのではなく、今年の10月からまず70歳以上の現役並み所得者の窓口負担を2割から3割に引き上げる。
現役並みの所得とは、現在は夫婦世帯で年収621万円(単身者では484万円)となっており、現在は約120万人が対象になっている。
しかし税制改正により、平成18年8月からは夫婦世帯で年収520万円(単身者で383万円)に引き下げられる。
そのため、新たに現役並みの所得になる人は約90万人おり、10月からはこれまでの1割負担から3割負担への急に負担が増えることになる。

さらに、10月からは慢性病などで医療型療養病床に長期入院する70歳以上の患者の居住費・食費が原則全額自己負担になる。平成20年からは65歳以上に引き下げられる。
それにより、現在自己負担が6万4千円の患者が、9万4千円に跳ね上がるケースもある。
また、高額療養費の自己負担限度額が4千円程度引き上げられることになる。低所得者は据え置かれる。

平成20年4月からは、75歳以上の一般所得者(低所得者も含む)は、これまで通りの1割負担のままだが、75歳未満の負担は2割へと増加する。

これだけ自己負担額が増えれば、医療を受けることができなくなる人が出てくることを考えなければならない。
その時に、医療や福祉はどのように対応するのか、モラルも問われることになるだろう。医療費を払えないからといって、無条件に医療の提供を拒むのか。
行政は、その状況をどう捉え、低所得者に対して向き合っていくのか。

先日示されたデータとして、全国の医療機関における治療費の未払いが100億円を超えた。1病院あたりにしても4,200万円になり、1.5倍増になっている。
理由に挙げられるのは、低所得世帯の増加や医療費の自己負担の増加があるだろう。支払う側の意思が低下していることも挙げられる。つまり、医療の責任に寄りかかり、患者側のモラルも低下しているのである。

低所得者やモラルの低下した患者に対して、どのようなフォローをしていくのか。
医療関係者のみならず、行政にとっても大きな課題である。

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