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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

療養病床の行く末

2007-04-09 22:54:42 | シリーズ 医療制度改革
平成18年2月に、介護療養病床の廃止を盛り込んだ医療制度改革関連法案が国会に提出され、4月には診療報酬・介護報酬の改定、7月には医療療養病床に新たな診療報酬体系が導入された。
その間、最大38万2千あった療養病床が6千あまり減少している。

これは、診療報酬の改定により医療ニーズが軽い利用者が多いと、医療療養病床では大幅な減収になることと、国の示す今後の方針についていけないと判断した病院・診療所がいち早く行動に出た結果であると推測される。
一方、厚労省が医療機関に対して行った療養病床の削減についてのアンケート結果では、老人保健施設へ転換するとした病床数は全療養病床の8.5%にとどまっている。理由としては資金面が大きいようだ。
医療機関の意向としては、「介護型から医療方への転換、あるいは医療方のまま存続」という回答が49.6%と最も多くなっている。「未定」は30%。「一般病床に転換」が5.2%という順になっている。

療養病床の転換の課題はどこにあるのだろうか。
各都道府県では県単位で病床数の整備を計画に基づいて行っている。現在の都道府県医療計画では、療養病床と一般病床の区分のない目標が設定されているため、療養病床が一般病床に転換することを妨げることは難しい。このような背景がアンケートの結果にも反映されているのだろう。
またもう一つ転換の足かせになっているのが、各市町村が策定する介護保険事業計画である。現在は平成18~20年度の計画となっており、老人保健施設等のベット数もそこで決められており、平成20年度までは老人保健施設等に転換したくても難しいという状況がある。
ただし、次期(平成21~23年度)の計画では療養病床の転換を踏まえた計画に見直されることになっている。
また、療養病床の約1割は診療所の病床であり、老人保健施設等への転換そのものが困難であることも忘れてはならない。

注意しなければならないのは、療養病床の転換が第一になってしまい、転換時に一定の期間減収となることに耐えられない医療機関が、医療区分が軽い利用者を無理に退院させるなどの行為に走ってしまうことである。
移行期には、一定の資金が必要になる。経営状態が悪く、その資金が調達できない医療機関もあるだろう。資金不足のために転換できないのであれば、ベットそのものが無くなってしまうことにもなりかねない。国はさまざまなケースを考え、どのように対応していくのかを考えておく必要がある。

反対に、資金が豊富にあり、老人保健施設等に安易に転換した場合も注意が必要である。施設形態を換えるということは、機能や介護の質が換わるということである。これまでと同じ処遇の仕方では、適したサービスを提供することは難しいだろう。
ぜひ、経営者は安易な転換に終わるのではなく、転換する施設に最も適した環境整備やサービス体制の構築、それに伴う職員の資質向上に取り組んでもらいたい。

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1 コメント

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こんにちは (ていぞう@シニア保険FC)
2007-04-09 23:16:08
こんにちは~
↓あなたのサイトを紹介しました~
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