What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

高齢者の身体拘束について考える。

2004-10-23 17:43:42 | 福祉雑記録
19日の朝日新聞【朝刊】の生活面に、群馬県の特養で身体拘束が行われていた記事がありました。
http://www.asahi.com/national/update/1015/020.html

記事によると、職員の少ない時間帯に、徘徊する入居者の胴体を車椅子ごと手すりやベッドに縛りつけたりしていたようです。また、つなぎ服を着せられ寝かされっぱなしにされていたことを家族に指摘されると、「便利だから・・・」と受け流されたり。
身体拘束だけでなく、プライバシーも守られていなかったようで、入浴の際は浴場のカーテンは開けっ放しでいつも廊下から見える状態。男性入居者が入浴中に、女性入居者を裸にして脱衣室に待たせることもあったといいます。
入居者からは「私だって人間ですからね・・・」とつぶやく声が聞かれたり、入居者の居室からは「私も人間として生きてみたい」というメモ書きが見つかったりしているとのこと。

少し前にも虐待をしている特養が内部告発されたことがありましたが、今回のことも人権侵害という虐待だと思います。おそらく、これらも氷山の一角に過ぎないと思ってしまいます。
なぜそう思ってしまうのかというと、自分自身も同じような施設で働いている身として、こういう記事を読むと少なからずドキッ!としてしまうものです。ここまで露骨な人権侵害ではないにしろ、知らないうちに「自分もしているのかも・・・」という不安があるからです。もちろん常に注意はしていますが・・・

身体拘束の問題を単純に「許すことができない!」と片付けてしまうのは、安易だと言わざるをえません。今回の記事からはどうかはわかりませんが、身体拘束をしている施設はやむをえない状況があるのかもしれません。もちろんそれで正当化できるものでもないし、頑張っている施設は同じような状況でも身体拘束ゼロで努力しているのですから。
しかし、人員配置や無理な勤務体制、ずさんな組織体系などシステムに問題がある場合も多く見られます。こうなると、いちケアスタッフの責任というより、管理者の責任が多いでしょう。施設の管理者はもう一度自分の施設を見直す必要があります。そして、現場のスタッフは無知・無関心でいることなく、自分の施設が置かれている状況を社会全般から見た広い視野で見極める必要があります。いつの日か、自分の親や自分が入るかもしれない施設なのですから・・・