What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

高福祉、高負担?介護保険の見直しについても考える。

2004-10-18 19:00:31 | 介護保険
前にも書いたように、デンマークを含めた“福祉大国”といわれる北欧では福祉サービスが充実しており、それにともない収める税金も収入の約50%と高くなっています。
日本でこのことを紹介する時によく使われる言葉が『高福祉高負担』というフレーズ。皆さんも耳にしたことがあるかと思います。
“福祉大国”=『高福祉高負担』という図式で理解している私たちは、スウェーデンやデンマークのようにはどうしたって追いつけないし、そもそも日本にはなじまないと思ってしまいやすくなっています。
はたして本当にそうなのでしょうか?

まず、なぜ日本ではなじまないと思ってしまうのか。それは日本人の税金に対する考え方が、北欧諸国とは大きく異なる点があげられます。日本において収めた税金は、それが何に対して使われるのかがはっきりとわかりません。医療や福祉、教育などに使われているだろうということは頭では分かっていますが、不透明な部分も多く、納得はできていない状態だと思います。
そのような状況のなかで、税金を上げましょうという話になると、国民からは反対の声があがります。最近では、福祉目的税として消費税を上げようという話も出ていますが・・・。
そこで出てきたのが“介護保険”です。これまで税金でやりくりしていたのが難しくなり、“保険”というシステムでなら、国民の理解を得やすいと考えたのです。“保険”であれば、何に使われるのかが明確であり、安心して払えるという国民感情に即しているのです。
“介護保険”の見直しを来年度に控え、保険料を20歳代から徴収するかどうかとか、障害者の支援費制度との一本化などさまざまな議論がされていますが、“保険”と“税金”が複雑に絡み合っている現状の福祉制度では、無理があるといわざるを得ません。
“介護保険”の議論の中で出てくる意見のなかに、“保険”制度で行うことでサービスの質が確保される、ということを耳にしますが、サービスの質を確保することがそれほど単純な問題ではないと思います。“保険”だろうが“税金”だろうが利用する側が、当然の権利としてサービスを受けるような環境であればいいし、法律である程度の制約を設けるなど、サービスの質を確保する方法は他にもあるのではないでしょうか。
最近では“育児保険”という言葉も出てきており、児童・高齢者・障害者を縦割りにするのではなく、広くサポートしていく体制をつくるチャンスでもあると思います。そのときに、費用をどこから捻出するのか。これからよく考えていく必要があると思います。

話をデンマークなどの北欧諸国に戻すと、その国民のほとんどが『高福祉、高負担』とはとらえずに、『高福祉、高税』ととらえています。それは、決して彼らにとって高い税金が負担ではないからです。自分たちの生活を豊かにするために税金が使われていることを理解していますし、例えそれが見ず知らずのホームレスに使われるとしても不満は出ません。
それは、民主主義の教育が徹底して行われているからだといえます。日本のような資本主義経済における競争原理の民主主義ではありません。共に生活するというのはどういうことか、という『ノーマリゼーション』の考えに即した民主主義なのです。

※デンマークでの教育に関しては、また今後触れたいと思います。