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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

デンマークの福祉事情 その2。

2004-10-13 22:51:54 | ノーマリゼーション
この項では、デンマークの高齢者福祉事情について触れていきたいと思います。

デンマークの高齢者施設は、30年前設立のプライエム(高齢者介護施設、日本でいう特別養護老人ホーム)ですらすべて個室で、シャワーとトイレがついています。
しかし現在では、入所施設ではなく、一人当たり2DKが基準の高齢者住宅が作られています。
つまり、“入所施設”ではなく、“住人”として家賃を払い生活する“住居”という考え方なのです。だから、住所番地があり、ポストがある所もあるのです。
また、これは日本で最近言われているユニットケアの考え方にもありますが、デンマークでは早い段階から食事時間、食べるものも自己決定で自由になっています。カフェテリアがあるところは、そこで食べてもいいし、部屋に運んでもらってもいいことになっています。メニューも選ぶことができ、ワイン、ビールなどもあり、当然注文できるようになっています。カフェテリアは誰でも利用ができるので、地域の人はお金を払って食べに来ています。
プライエムや高齢者住宅の費用は年金でまかなうことができ、さらに数万円のお小遣いが残るという状況です。デンマークでは、年金も充実しているのです。

高齢者の生活支援に関しては、①人生の継続性、②自己決定の尊重、③自己資源の開発、の3原則が打ち立てられていて、あらゆるサービスが充実しています。

デンマークでは、無資格者が高齢者の介護をすることはありません。社会保健介護助手や社会保健介護士が担い手となっています。
前者は以前はホームヘルパーと呼ばれていて、7週間の講習でなれましたが(日本でいうホームヘルパー2級のようなもの)、1990年以降は1年2ヶ月の教育期間が必要となりました。後者は、それからさらに1年8ヶ月の教育が必要となっています。
介護の質というものを考えた時に、簡単に取れる資格をもとに誰でもできる仕事ではない、ということなのです。
今の日本にも同じことが言えると思います。当初は人材確保の為に資格要件を低く設定したものの、実際に動き始めるとそれゆえのほころびがあちらこちらに見え始めてきています。
つまりは誰でもできる仕事ではないからです。いくら専門知識をしっかり身につけたところで、人間性や向き不向きなどにより、福祉の仕事に会わない人も出てくるでしょう。
ケアマネージャーにしても、何人かの心もとない人の不正により、大きな問題になっています。
これから、介護の質をどのように考えていくかが日本にとっても大きな課題になってくるといえます。

話を戻すと、デンマークでは介護職の労働環境として、介護者の身体を傷めないように、持ち上げる動作は禁止され、押すか引くかの動作で介護をしています。
持ち上げるときは、リフトを使用しています。ベッドから車椅子への移乗もリフトを使用して、介護者の腰を守るようにされているし、事務用机なども、その人に高さがあわせられるようなつくりが義務付けられているのです。