むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

ギリシャ語映画「エレニの旅」の感想

2005-06-07 02:23:25 | 芸術・文化全般
次に6月2日夜に見に行ったのが、ギリシャ語映画
 中文題名:希臘首部曲
 日本語題名:エレニの旅
 原題:ΤΡΙΛΟΓΙΑ: ΤΟ ΛΙΒΑΔΙ ΠΟΥ ΔΑΚΡΥΖΕΙ (Trilogia I: To Livadi pou dakryzei)
 英語題名:Trilogy: The Weeping Meadow
 監督はギリシャを代表するセオドロス(テオ)・アンゲロプロス(Θεόδωρος Αγγελόπουλος)、2004年、ギリシャ=仏=伊合作作品。
 場所は台湾の岩波ホールともシネカノンともいえる真善美。国民党営だが、こうした英米以外の映画を上映するところ。

 日本語公式ページ:フランス映画社
 日本語による詳しいページ:エレニの旅@映画の森てんこ森
 キャスト一覧は:Cinema Scape
 ギリシャ語による批評(といってもあっしは固有名詞くらいしか読めませんが。言語入力でギリシャ語を追加してググったところ最初に出てきたのがこのサイト):http://www.gfc.gr/3/31/film_gr.asp?id=434
英語によるあらすじ:http://www.film247.net/film/trilogytheweepingmeadow.php、あらすじと批評:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/2005_01/trilogy.php

 映画は、ロシア革命が起こってウクライナ・オデッサにいたギリシャ移民が故地のギリシャに戻るところから始まる。その移民の子が女主人公のエレニで、養父スピロスと結婚を強要され、愛し合っていたスピロスの息子アレクシスとともに家を出る。そして労働運動活動家と知り合って、テッサロニキに近い貧しい村に住み着いた。しかし時代は1936年、ファッショ化の波が東欧・南欧を襲っていた。ギリシャでもファッショ政権が成立し、労働運動活動家や自由な音楽家は逮捕・弾圧を受ける。アレクシスは米国に新境地を求めてエレニをおいて一人旅立つ。エレニは社会主義関係者として当局に一時逮捕される。家には幼い双子の息子を置いたまま。その後釈放されて家に戻るがそこには家はない。アレクシスはファシズムの拡大に憤激し、ファシズムに対抗するため米軍に加わるが、日本沖縄慶良間島戦線に赴いて命を落とす。双子の息子は、片方が政府軍、片方が反政府ゲリラに加わり、いずれも戦死する。戦後、エレニは老いた母親の元に戻り、孤独を嘆く。

 欧州映画にありがちな、訳のわからなさはないが、やはり深刻な調子だ。ただ私としては、労働運動活動家が人民戦線を結成してファッショ勢力に対抗を呼びかけるところ、ファシズムに対抗するため米軍に加わるという話などは、当時の時代状況を反映していた興味深かった。
 この映画、題名のとおり、三部作の第一部で、今後、二部、三部では、後の時代を背景にした物語が続くらしい・・。

 ところで、ギリシャ語の響きって、イタリア語をちょっとおとなしくして、東欧スラブ系言語に近くしたような感じ(て、我ながら、わけわからん表現だ)。sの音がよく響く。ところで、現代ギリシャ語は古典ギリシャ語やコイネーとは文法がずいぶん違っているようだし、スラブ寄りになっているみたいね。どれも一応かじったことはあるんだが、変化と活用両方が複雑なので頓挫した。文字はキリル文字よりは読みやすいとは思うが。
 また、どういうわけか、90年代は中東の歌手のCDはギリシャ製造が多かった。ギリシャ系が多いキプロスは、レバノン内戦中に避難地になったこともある。つまり、現代のギリシャは、古代ギリシャの故地ということで西欧のルーツになっていると同時に、東欧にも中東にも近いという微妙な位置にあることになる。
 ギリシャ語って、直接聞いたのは、カナダのトロントに遊びに行ったときがはじめて。トロントの地下鉄TTCのPape駅付近はギリシャ人街になっていて、道路標識もギリシャ語が併記されていた。ギリシャ人歌手といえば、ナナ・ムスクーリ(ムースフリ)(ΝΑΝΑ ΜΟΥΣΧΟΥΡΗ)しか知らんかったから、前回2003年秋にトロントのギリシャ人街行ったときは、題名に引かれて「アテネ・テッサロニキ(ΑΘΗΝΑ - ΘΕΣΣΑΛΟΝΙΚΗ)」ての買ったんだが、ほとんどインストルメンタルだけで、ギリシャ語の歌がほとんどなかったのでがっかりしたが。
 あ、それからXPでギリシャ語入力を追加した場合(言語バーにELが追加される)、MSワードで英語で打っているとしばしばギリシャ文字に勝手に変換されてしまって困ることがあるが、これってどうにかならんのでしょうか?


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