むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

親台ウヨク日本人の甘え、台湾本土意識とのズレ

2009-04-20 19:33:24 | 台湾言語・族群
NHK番組に絡む今回の騒動を見て、2004年3月ごろ民進党本部を訪れた親台ウヨク日本人と民進党幹部との歴史認識のズレを思い出した。
民進党がつくった日本語による紹介ブックレットの歴史の部分で「日本による植民地時代では台湾人も苦痛を味わったが、衛生面など建設も行われた」みたいなくだりがあるのを見つけたウヨクは、「苦痛があったというのは反日的な物言いで如何なものか」みたいに論難したのだ。
しかし民進党幹部側は「台湾人にとってみれば外来政権であり、苦痛があったのも事実だ。しかし過去は過去であり、今の日本とは手を携えて中国と対抗するのが筋だ」と応酬した。若干気まずさが残った。
民進党に代表される戦後台湾本土民主派の歴史認識は、日本統治時代の功罪をいずれも認識するというものだ。過去に苦痛もあったが、それはそれとして、戦後の民主主義国家として平和的に発展した日本については評価し、連携を強めるというものだ。しかしそれは紛れもなく親日なのであり、日本にとっても好ましい態度でもあるはずだ。
ところが、親台ウヨク日本人は、度量がないようで、「親日」というのを「媚日」と曲解し、ひたすら賛美することを望んでいるように見える。NHKの番組を「曲解」だの「歪曲」だの「捏造」だのと騒いでいるウヨクは、それこそ台湾の親日をウヨク的な角度から、曲解し歪曲しているだけである。そしてそれは台湾人を無理やり中華民族の枠組みに押し込めて、統一と抗日戦線を強要する中国人の態度と通底する。

台湾、マレーシア、インドネシアなどは親日的な人たちによって成り立つ、紛れもない親日国家である。
しかしその親日はあくまでも日本人と異なる文化と思考と歴史的背景を持つ人たちが、自分たちの視座で考える親日なのであって、それは日本人の特にウヨクが考えるような軍国主義を絶対に賛美しなければならないというレベルでの親日(実は媚日)とは異なる。
今回私はジャカルタの独立記念塔も訪れたが、インドネシアの独立宣言文が皇紀2605年を使ったとき、それは彼らが天皇制を賛美しているのではなくて、オランダ帝国主義とそれがもたらした西暦(キリスト紀元)への代替策として使っているのである。インドネシア人は、オランダに比べれば日本軍政のほうがマシだったと考え、戦後日本軍兵士が独立のためにインドネシア人と一緒に戦ってくれたことに感謝もしている。しかし同時に、日本軍が侵入してきたときに、マレー人が嫌がる「人前で人を怒鳴る」といった非道をやらかしたことも忘れてはいない。
しかし、マレー系の人たちは、過去にこだわらない。彼らが親日的なのは、日本人が戦後経済的に繁栄して豊かになったこと、その一方で自虐的になって過去を反省し、異なる文化の人たちを尊重し、謙虚に接してきたからこそ、親日的になったのである。
過去はどうであれ、彼らが評価しているのは、戦後から現在に至るまでの日本および日本人の態度なのだ。実際、戦前の軍事拡張主義とは一転して、日本は戦後62年にわたって一度も戦争したことがない世界で数少ない平和国家のひとつになっているのだ。

ウヨクが今回、「台湾人に日本統治に批判的なことを言わせたのはおかしい」と、あたかも台湾人には植民地時代の苦痛がまったくなかったかのように言い立てるのは、戦後台湾を事実上植民地として扱い苦痛を与えたシナ人国民党が「台湾は中華民国の領土として省籍の差別なく経済発展した」と恩着せがましく自画自賛するのと同じ傲慢な態度だといえる。
シナ人が戦後台湾において嫌われ、そして経済的に膨張した(そしてもはや衰退、崩壊に向かいつつある)今、アジア各地で嫌われているのも、そうしたシナ人の中華思想と傲慢さによるものだ。

日本人がシナ人の真似をすべきではない。
台湾人が親日だからといって、日本のすべてを受け入れ賛美してくれることを期待するのは、単なる甘えだ。
(武士由来の)近代日本人の美徳は、自分を厳しく律することにあることを、なぜかウヨクのほうが忘れているようだ。どうりでウヨクはやたらと漢字が好きで、やまとことばを大切にしない。

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