ビルボード・チャート日記 by 星船

1970年代から80年代にかけての特にビルボードのチャートを中心に、洋楽を愛する皆さまにお届けするブログです

ヴァン・ヘイレン Van Halen - Love Walks In(1986年の洋楽 Part40)

2022-10-13 21:11:43 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart40は、Van Halenの”Love Walks In”。最高位は10月4日付と11日付の第22位。年間チャートは残念ながら圏外でした。

Van Halenですが、70年代前半、天才ギタリストEddie Van Halen、お兄さんのドラマーAlex Van Halen、ボーカルのDavid Lee Rothらで結成されたバンドです。もちろん、ロックファンの方々には、熱狂的なファンも多い大人気バンドです。

そのVan Halenですが、エドワード・ヴァン・ヘイレンのギターワークとともにバンドの2枚看板であるデイヴィッド・リー・ロスが、アルバム『1984』を最後に、バンドを離れます。そこに、デイヴの代わりに入ってきたボーカリストがSammy Hagar、元アメリカンハードロックバンド・モントローズのSammy Hagarです。ソロでもヒット曲を持っているロックボーカリストで、ギタリストでもある、ロック界ではすでに大人気者です。

直前には、『1984』のアルバムの大ヒット、"Jump"のシングルでの特大のヒットを持つあのVan Halenが、 David Lee Roth がいなくなり、Sammy Hagarが加入して、いったいどんなバンドになっちゃうんだろう?そんな世界中から注目されていたアルバムが彼ら7枚目のアルバム『5150』。結果は大成功でした、アルバムは、初のチャートNo.1を記録して、ファーストシングルの"Why Can't This Be Love"も、最高位3位を記録する大ヒットとなりました。こちらをご覧ください→→→

Van HalenへのSammy Hagarの加入ですが、派手で強烈、底抜けに明るいDavid Lee Rothのボーカルから、そこまで強くない、デイヴに比べればマイルドなSammy Hagarに代わり、アルバム『5150』は新たなVan Halenの誕生でした。ファーストシングル"Why Can't This Be Love"は、そんなニュー・ヴァン・ヘイレンを象徴する曲でしたが、この曲”Love Walks In”は、さらに驚きのロックバラードでした。

”Love Walks In”の作者は、Eddie Van HalenにSammy Hagar、Alex Van Halen、Michael Anthonyと、メンバー全員が作者に名前を連ねていますが、やっぱりSammy Hagarの影響は大きいでしょう。それまでのVan Halenにはない、新しいタイプの曲でした。

この新たなVan Halenはどうかというと、私は大成功だったと思います。曲も大好きだったです。David Lee Roth時代との比較は難しいですが、しっとりとしたポップ・ロック路線に、ちゃんとEddie Van Halenのギターも主張していますし、ライブ動画を見ると、Eddie Van Halenがシンセサイザーを弾いているときには、Sammy Hagarがギターを弾いていたりして、バンド活動も幅が広がったのではないでしょうか。

Sammy Hagarですが、この後、Van Halenには、1985年から1996年まで11年間所属し、計4枚のスタジオアルバムを出すことになり、なんと、その4枚すべてが、アルバムチャート1位を記録することになります。
Sammy Hagarも大物でしたので、大方の人々は、バンド活動はたぶん短い期間で終わるのじゃあないかと、私もそう思った一人でしたが、Sammy HagarとVan Halen、よっぽど相性が良かったのですね。よいアルバムをたくさん出して、思いのほか長続きしてくれました。


こちらはライブの動画です。ギターソロはSammy Hagarで、Eddie Van Halenはシンセサイザーに専念しています。
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ダリル・ホール Daryl Hall - Dreamtime(1986年の洋楽 Part39)

2022-10-06 23:55:52 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart39は、Daryl Hallの”Dreamtime”。最高位は10月4日付の1週のみの第5位。年間チャートは94位でした。

Daryl Hallですが、もちろんあのHall & OatesのDaryl Hallです。コンビを解消したわけではなく、コンビ活動をお休みしてのソロ活動で、ソロでは、1980年に1枚アルバムを出していますので、2枚目のソロアルバムとなります。

さて、そのHall & Oatesですが、デビューアルバムのリリースは1972年にまでさかのぼります。
初めてのシングルヒットは、1976年の"Sara Smile"、最高位は4位、この曲は名曲でした。さらに、続いてヒットしたのが"She's Gone"、こちらも負けず劣らずの名曲、最高位は7位でした。その後も大ヒットを続け、"Rich Girl"など、5曲のNo.1ヒットを含め、合計で25曲のTop40ヒットを持つ、スーパースターのデュオです。

そのDaryl Hallが、1980年に出した初のソロアルバム『Sacred Songs』に続く2枚目のソロアルバム『Three Hearts in the Happy Ending Machine』を1986年にリリースします。

ファーストの方から先に書きますと、このアルバムのプロデュースはロバート・フリップ。なかなか個性的なアルバムで、アルバムはそこそこヒットしましたが、シングルヒットは出ませんでした。

そして2枚目のアルバムからのファーストシングルがこの曲”Dreamtime”。
この曲は、初めて聞いた時から、「いい曲だなぁ!」と、感じました。Daryl Hall、やっぱりいい曲作りますよね。もちろん、Paul Youngに提供した"Everytime You Go Away"のようなバラードの名曲や、"Private Eyes"のようなポップスの名曲もありますが、この”Dreamtime”は、メロディアスロックの名曲ともいえるのではないでしょうか。

”Dreamtime”の曲の作者は、Daryl HallにJohn Beebyの共作。驚いたのは、プロデューサーに、ユーリズミックスのDavid A. Stewartが参加しています。この曲のギターソロもDavid A. Stewartが担当していますね。

そしてこの曲、なんといってもあの日本の名曲とそっくりということで一部の方々には有名です。そう思って聞くと、わかる方がたくさんいると思います、「負けないで」ですね。曲のリリースは1993年ですので、”Dreamtime”の発表からちょっと時間が経ってはいますが、私はこの曲を聞いた瞬間に、「やや、”Dreamtime”じゃないの!」と思いましたから、それだけ似ているのでしょう。作者の織田哲郎さん、どうなんでしょう?
でも、それはそれとして、日米とも、この名曲の価値は、十分ありますし、私は、「負けないで」は、日本のポップスを代表する名曲だと思います。なんせボーカルがすばらしいですから。
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Run-D.M.C.(ラン・ディーエムシー) - Walk This Way(1986年の洋楽 Part38)

2022-09-29 21:24:01 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart38は、RUN-D.M.C.の”Walk This Way”。最高位は9月27日付の1週のみの第4位。年間チャートは89位でした。

この曲"Walk This Way"は、曲名を聞いた時にはまさかと思いましたが、なんとあのAerosmithの"Walk This Way"のカヴァーバージョンです。そのうえ、アーチスト名として、Run-DMC with Aerosmith (with its leaders Steven Tyler and Joe Perry)とあるじゃないですか。この曲がチャートを上がってきたのには、驚かされました。

ということで、この曲"Walk This Way"は、もちろん皆さんご存じのアメリカのロックバンドAerosmithの、1977年のヒット曲。最高位10位を記録した、エアロスミスでは4曲目のTop40ヒットで、"Dream On" に続く2曲目となるTop10ヒットでした。

Aerosmithの"Walk This Way"が入ったアルバムは『Toys in the Attic』でしたが、このアルバムは、衝撃的なアルバムでした。スティーヴン・タイラーのシャウトするボーカル、ジョー・ペリーの攻撃的なギターは、当時のロック少年たちの心を揺さぶるアルバムだったです。

そのエアロスミスですが、1978年に最高位23位を記録した"Come Together"を最後に、Top40から遠ざかり、ギターのジョー・ペリーはバンドを脱退、スティーヴン・タイラーも、ドラッグとアルコールにおぼれ、この80年代半ばには、エアロスミスは、もう過去のバンドとなってしまったか、と思っていたところの、この曲の大ヒットでした。

カバーしたのは、これもびっくり、アメリカ・ニューヨーク州出身の3人組ヒップ・ホップグループRun-D.M.C.。そこに、オリジナルエアロスミスのスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが参加した、という曲でありました。

Run-D.M.C.ですが、デビューは1983年。ファースト、セカンドとも、アルバムチャートではまずまずのヒットとなり、シングルは、レギュラーチャートではランクインしませんでしたが、R&Bチャートではチャートの常連のグループだったようです。

レギュラーチャートでメジャーになったのは彼ら3枚目のアルバム『Raising Hell』から。そのアルバムからのシングルがこの曲"Walk This Way"です。
曲の作者は、もちろんエアロスミスのSteven TylerとJoe Perryの共作。
オリジナルの"Walk This Way"は衝撃的でした。勢いのある、ロックやR&Bが融合した、斬新的なロックでした。

そのロックを、ラップを取り入れて歌うのがRun-D.M.C.バージョンです。元々のスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが参加しているからなのか、それとも、この曲"Walk This Way"が、元々R&Bの影響をたっぷり受けている曲で、ラップになじむ曲だったのか、オリジナルから幻滅することなく聞けましたし、曲には勢いも感じました。新しい時代を感じさせる曲でした。

エアロスミスは、79年を最後にTop40から消え、活動も低調な状況が続いていましたが、この曲で見事復活し、80年代後半から、90年代にかけて、大ヒットを連発する大人気ロックバンドとなります。皆さんご存じのあの曲で、No.1を記録することになります。

一方のRun-D.M.C.ですが、この曲が初めてのTop40ヒット。その後も、レギュラーチャートでこそ、合計3曲のTop40ヒットにとどまりましたが、2000年にかけて、R&Bチャートを中心に活躍を続けます。2002年に、3人のメンバーのうちの一人が銃で撃たれ死亡するという事件が起こり、残念ながら活動を停止してしまいました。


こちらがオリジナルのAerosmithの"Walk This Way"。最高位は1977年の1月に記録した第10位。年間チャートは90位。RUN-D.M.C.のカバーバージョンの方が、ちょっとだけですがヒットしたのですね。
このオリジナルを聞くとよくわかりますが、ハードロックではありますが、ブラックミュージックの影響を大きく受けていますね。Run-D.M.C.さんには申し訳ないですが、オリジナル、改めて、カッコイイー!

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マイアミ・サウンド・マシーン Miami Sound Machine - Words Get In The Way(1986年の洋楽 Part37)

2022-09-22 22:30:33 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart37は、Miami Sound Machineの"Words Get In The Way"。最高位は9月20日付の1週間の第5位。年間チャートは47位。年間チャートこそ初めての大ヒット"Conga"の40位に譲りましたが、初のTop5入りを果たす大ヒットになりました。

Miami Sound Machineについては、1975年に活動を開始したラテンミュージックグループ、キューバ出身のミュージシャンEmilio Estefanが中心となって結成。ボーカルには、もちろんGloria Estefanが参加します。この二人は、1978年に結婚することになりますが、たまたまラストネームEstefanが同じなのでしょうか。

ファーストアルバムのリリースは1977年、『Renacer / Live Again』になります。それから、毎年のようにアルバムを出すことになりますが、スペイン語のアルバムであり、ワールドヒットにまでには至りませんでした。
初めての英語のアルバムが、8枚目のアルバム『Eyes of Innocence』で、初めてイギリスでチャートインし、シングルも、ダンスチャートですが、アメリカのチャートにも顔を出すようになります。

そして1985年にリリースした彼ら9枚目のアルバムが『Primitive Love』。このアルバムが、英語での2枚目のアルバムになります。
このアルバムからのファーストシングルカット曲が"Conga"。前述のように、最高位10位、ロングヒットで、年間チャートは40位を記録する大ヒットになりました。こちらをご覧ください→→→

このアルバムからは、次のシングル"Bad Boy"も、最高8位、年間チャートも79位を記録するヒットになります。
そして、サードシングルがこの曲"Words Get In The Way"で、アルバムからは、3曲目が、最も高い最高位を記録することになりました。
"Words Get In The Way"の曲の作者はGloria Estefan。アルバム『Primitive Love』の収録曲では、Gloria Estefanが作った曲はこの曲だけになります。

Miami Sound Machineといえば、ラテン系の音楽であり、"Conga"に代表されるような、テンポの良い、ダンスミュージックオンリーだと思っていましたが、この曲には驚きましたし、Gloria Estefan、なんて良い歌、歌うのでしょう、と、この曲で初めて思いました。次のアルバムで1位のとなる"Anything for You"も、Gloria Estefanの作の曲で、こちらも美しいバラードでした。ボーカルも素晴らしい声で歌いますが、いい曲書きますね。
Gloria Estefanですが、その後、事故で大けがをしたりしますが、それでも、ソロで長く活躍することになります。
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ドゥーブル Double - The Captain Of Her Heart(1986年の洋楽 Part36)

2022-09-15 21:49:16 | '86年洋楽
1986年の洋楽ヒット曲を紹介するシリーズのPart36は、Doubleの”The Captain Of Her Heart”。最高位は9月13日と20日付の2週間の第16位。年間チャートは残念ながら圏外でした。

Doubleですが、珍しくスイス出身のデュオ。スイス出身で、ビルボードのTop40に入ったミュージシャンはいるのでしょうか?思い当たらないです。ギターとボーカルのKurt Malooと、ドラムスとキーボードのFelix Haugのデュオで、曲作りもすべてこの二人でやっているようです。

そのDoubleですが、80年代初めに、前身のバンド、「ピンポン」?というバンドを結成、ヨーロッパでは、数曲のヒットがあるようです。1983年に、そのバンドのメンバーの二人が、このデュオDouble結成しました。ファーストアルバムのリリースは、1985年、『Blue』というアルバムです。このアルバムからは、まずは2曲がシングルカットされましたが、アメリカ、ヨーロッパとも売れなかったようです。

そして、そのファーストアルバムからの3曲目のシングルがこの曲、”The Captain Of Her Heart”です。アメリカ、ヨーロッパで、突然のヒットとなりました。曲の作者は、メンバー二人、Kurt MalooとFelix Haugとの共作。
この曲ですが、心に響く、物悲しい雰囲気の曲でありました。ジャズ・ソウル系の音楽も入っている感じがします。スイスというか、北欧の冬、を感じさせますね。

Doubleですが、この後、もう一枚のアルバムを出しますが、残念ながらヒットせず、シングルも、この曲のみで、その他にはHot100にも入らず消えてしまいました。たまにはこんな一発屋の曲を聞くのもいいでしょう。
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