有馬もとの補助犬訓練士ダイアリー

聴導犬・介助犬国際認定インストラクター(日本聴導犬協会)有馬もとのプライベートブログです。

32: HPで厚生労働省への要望書を公開

2005-09-19 20:53:05 | 政策研究&ロビーイング
 9月8日 厚生労働省へ野地さん(アジア・ワーキング・ドッグ・サポート協会 代表)と、加盟団体の代表として一緒に行きました。
 厚生労働省の社会参加推進室の室長補佐徳永様に、全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会(全国の聴導犬を育成する6団体が加盟)からの要望書をお手渡しさせていただきました。
 要望書の内容は、http:/www.hearingdog.or.jp/youbousyo-tyoudouken.htmで紹介しております。育成団体からの要望書なのですが、認定試験を受けた聴導犬ユーザーの代弁的な要望書となりました。みなさまからのご理解と応援をお願いいたします。 
 

 聴導犬の育成を育成する団体は、17団体が登録されていますが、いくつかのリハビリテーションセンターが含まれていること、補助犬の貸与や認定実績がない団体もあるので、全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会には、実績のある6団体だけが加盟していただいております。現在は、1団体が増え、7団体となりました。

 今回は、その6団体からの要望書となります。 

厚生労働大臣 尾辻秀久殿

                聴導犬に関する要望書

I:認定業務につきまして

1:聴覚障害をもたれる補助犬ユーザーへの試験内容の改善をお願いしたい。

1. (認定試験において) 聴覚障害ではなく、身体障害に関する認定試験中の質問が多くを占める傾向があった。聴覚障害について、認定委員の専門性が低い観がいなめない。床ずれなどの質問は、本人の障害により必要性の有無を考慮いただきたい。

2. (認定試験には)耳鼻咽喉科医師を、必ず認定委員にいれていただきたい。

3. 認定試験内容として、リハビリセンター内でだけではなく、「自宅での聴導動作審査」も聴導犬の働きからは不可欠である。



2:聴導犬ユーザー(聴覚障害者)への配慮をお願いしたい。

1. 事前の細かな試験内容や日程など、インフォームドコンセントがほとんどない。リハビリテーションセンター主導で、特に聴覚障害をもつユーザーのとまどいをもっと考慮していただきたい。

2. 認定審査の際には、2名以上の手話通訳士の手配をお願いしたい。

3. 通訳(手話)を介する審査であることから、ユーザーの疲労を考え、休憩時間を30から1時間ごとに入れていただきたい。

4. 質問での早口、詰問口調などはやめ、手話通訳士にきちんと伝わり、聴覚障害者が理解するための配慮をお願いしたい。

5. 個人情報の範囲で、必要性の低い質問は、控えていただきたい。

6. 審査段階前の相談という理由で、不十分な説明で、何回もリハビリテーションセンターに通わなくてはならない現状がある。聴覚障害者に負担となる認定試験は、改善していただきたい。



3:認定団体の中立性についてのお願い。

1. 認定団体は、中立であるべきなので、審査を受けているにもかかわらず、他の育成団体を推薦するような発言は避けていただきたい。

2. 聴導犬審査のための認定委員である訓練士は、複数の団体から選択し、団体に偏らない公平な審査を行っていただきたい。

3. 聴導犬の認定に関して、リハビリテーションセンターの関与の再考をお願いしたい。


Ⅱ:補助犬支給審査について

1:貸与のための事前審査はリハビリテーションセンターだけでなく、耳鼻咽喉科医院等による医学的な結果も認めてほしい。

1. 補助犬希望者の事前審査を、各地域のリハビリテーションセンターに限る傾向があるが、同施設は数も限られる、身体障害専門であることから、各地の指定耳鼻咽喉科医会の協力による審査を認めていただきたい。

2. 認定団体である厚生労働大臣指定法人の公平性と中立性を保っていただきたい。

3. 補助犬を貸与するか否かの審査段階で、聴導犬ユーザーのリハビリテーションセンターへの勧誘や特定1団体の推薦は、自由市場による質の高まりをはばむものであることから、ご注意をお願いしたい。



Ⅲ:PR犬の同伴許可について

聴導犬は、もっとも知名度が低く、普及率も低い補助犬であるため、特に普及啓発が必要である。そのため、訓練士に同伴によるPR犬(訓練修了犬)の電車、飛行機への同伴についても、許可犬と同等の権利を得られるよう検討をお願いしたい。



最後に、厚生労働省での検討会などで、常に同一ユーザーの意見ではなく、他団体からのユーザーの発言の機会をつくっていただきたい。

                      以上、謹んでお願いする次第です。


陳情人

全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会 会長

      住所:長野県上伊那郡宮田村3200 

         社会福祉法人 日本聴導犬協会 会長 有馬もと

全日本聴導犬ユーザーの会 代表 

      住所:愛知県岡崎市滝町字外浦251番地

         特定非営利活動法人 日本ヒアリングドッグ協会 
                        会長 大西 滋

全日本聴導犬(ヒアリングドッグ)育成協会協議会 加盟団体

      住所:長崎県大村市東野岳町1662-1

         特定非営利活動法人 聴導犬育成協会 
                      理事長 萩原美奈津

      住所:神奈川県鎌倉市津519-1

         特定非営利活動法人 聴導犬育成の会 
                        会長 松田治子

    住所:神奈川県横浜市港北区高田東3-1-21反田ビル1F

アジア・ワーキングドッグ・サポート協会 
                        会長 野地義行

      住所:徳島県板野郡板野町川端字富の谷口34-5

      特定非営利活動法人 ボランティアドッグ育成センター 
                        理事 清原健司

31: 毎年、感謝! 日本臨床獣医学フォーラム年次大会

2005-09-19 12:49:29 | 身体障害者福祉
 ↑ 9月17-18日まで東京のニューオータニホテルで行われた日本臨床獣医学フォーラム年次大会に、参加させていただきました。

 日本臨床獣医学フォーラム年次大会に、今年も参加させていただきました。
 5回目になります。聴導犬だけでなく、盲導犬、介助犬の補助犬育成団体も、同じ一区画で、紹介をさせていただいております。年1回ですが、ひさびさに、顔見知りの方たちと出会えるのは、とても懐かしく、うれしいことですね。
 フォーラムのご理解で、多くの獣医療関係者のみなさまと出会えること、とても感謝しております。

 今回は、しろ君とクロネエさんが参加。スタッフの矢沢さん、ボランティアの大沢さんご夫婦で、2日間参加しました。千趣会のベル・メゾン様のご支援で、新ユニフォームで、統一できました。18日には、ユーザーさんのご夫婦&聴導犬もりが着てくださいました。

 さて、クロネエさんは9歳。14,15歳まで現役でいてほしいと思います。
 最終日は、JAHAのCAPP活動の小林さんを始め、皆様と一緒に最後のレクチャーをさせていただきました。聴導犬の講演会と聴導犬と小型介助犬デモをさせていただきました。若い子のピチピチさはありませんが、クロネエさんの経験豊かな、観客をかきこむ「間」も見極める熟練度です。
 
 しろ君はいつものように、落ち着いて、小型介助犬と聴導犬のふたつのお仕事をお見せしました。東京のユーザーさんご夫婦にもお出ましいただきました。聴導犬もりちゃんが、デモなのに、一緒になって音を教え、会場をわかせました。
 ユーザーさんに、もりが来た前と後では何が変わりましたか?とお聞きすると、
「安心できるようになりました」と、お答えくださった後に、
「生活がイキイキしてきました」
 
 その言葉で、会場にいらした方々のお顔も、パッと明るくなったような気がしました。補助犬は、「物」でも「道具」でもありません。「ユーザーと共に生きる伴侶であり」時には、「さまざまなバリアを打ち砕く戦友」でもあります。
 かけがえのない家族なのです。
 
 ユーザーさんが、デモ会場でも律儀に音を教えてくれる「もりちゃん」の後について、何回も席を立って会場を動かなくてならなくて、そのことに戸惑っていらしたので、ボランティアの大沢裕子さんに、会場の奥でもりのリードを持っていていただきました。そうしたら、赤ちゃんの声で大沢さんに、泣き声をタッチで教え、正面までつれてきてくれました。 大沢さん、とっても感激していらっしゃいました。

 それを拝見して、スタッフもとっても、うれしかったです。ずーと協会が、お世話になっている大沢さんに、音を教えるなんて、もりちゃんも、感謝しているんでしょう。

 大沢さんには、子犬の育てボランティアさんであり、東京での広報部長もしていただいております。創設から9年の(福)日本聴導犬協会ですが、大沢さんのご家族は、8年間以上、ボランティアを続けてくださっています。
 今回も、裕子さんと、ご主人のお手伝いがなければ、これほどスムーズにいかなかったと思います。本当に、ありがたいです。

 ご支援者がいてくださることで、(福)日本聴導犬協会は発展していけます。