No,58
グスタフ・クリムト、「ユディトⅠ」、20世紀オーストリア、アール・ヌーヴォー。
19世紀から20世紀にかけて、こういう感じの女性が増え始めた。
どうだね。美しいが、どこか男性的な野心を感じるだろう。
時代が進み、男に伍すようなことをやりはじめた女の中には、男並みの馬鹿をやるやつも多く出てきたのだ。
昔はユディトも、ホロフェルネスの首を落とすのに、勇をふるい起こしたものだが、このユディトにはそういうことはない。平気の平左で、カミソリで髭を落とすように、軽く男の首を落とす。
こわいぞ。
美女であっても、正直、近寄って行きたくないだろう。こういう女には。
やさしくもあでやかにほほ笑みながら、その手には軽やかなハサミを持っている。
気をつけよ。不用意に近寄ると、大事なものをちょん切られるぞ。