世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

眠り

2014-03-12 03:55:08 | 虹のコレクション・本館
No,91
ギュスターヴ・クールベ、「眠り」、19世紀フランス、写実主義。

これは美しく見えるが、むごい。ヤン・ファン・エイクのマリアの後で紹介すると、落差がひどいね。

これは男のエゴそのものだ。女から肉体だけを奪い、男の欲望専用のものとして描いている。人間の肉を着た木偶だ。もっと強い言い方をすれば、本物の肉体を使って作った、ダッチワイフだ。

美しい裸体画はたくさんあるがね、これは最低だ。

いずれ人間は、こんな女を必要としていたのかと、あきれるぞ。女を、こんなものにしていたのかと。

侮辱以前の問題だ。意識が幼稚すぎる。人間をこんなものにしてはいけない。

クールベはもっと馬鹿な絵を描いているがね、さすがにそっちはコレクションにあげたくなかった。
これは極上の技術を、もっとも低劣な精神にささげた例だ。



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