世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

選ばれし者

2014-02-19 04:36:26 | 虹のコレクション・本館
No,73
フェルディナンド・ホドラー、「選ばれし者」、19世紀スイス、象徴主義。

象徴主義を考える上で、忘れられない絵である。このイメージは、かなり強烈だ。

翼をもった女性の一群が、幼い子供(おそらく男児)を取り囲んでいる。
女性は天使のようにも、亡霊のようにも見える。

19世紀は、男と女が、逆転を始めた時代だった。男がかなり女性的に、繊細になってきた。昔のような、勇猛な男性性を発揮できる男が、ほぼいなくなり、その代わりに、女性が男性性を表現するようになってきたのである。

ホドラーが描く女性は、恐ろしい強さを秘めている。あからさまには表現しないが、沈黙の中に、強権を発動する意志を表明している。

この絵には、未来が胎蔵されている。



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