日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の福井を行く 2020 - 紋や

2020-09-20 21:23:34 | 居酒屋
一悶着はあったものの、時間的には頃合いとなりました。「紋や」の暖簾をくぐります。
早い時間は混み合っても、九時を過ぎれば空いてくるのは分かっています。今回もその経験則は妥当しました。とはいえ、何もかも平時のままというわけにもいきません。程なくすると先客が立て続けに帰って、30分も経たないうちに貸切となりました。早仕舞いをしているわけではないものの、最近は皆こうだというのが店主の弁です。蔓延の度合いに違いがあったとしても、飲食店の苦境は地域を問わないようです。そのようなご時世にあって、問い合わせの電話がありがたかったとの一言も飛び出しました。実は、四連休という変則的な暦を踏まえ、出発前に休みの予定を確かめていたのです。電話口の様子から、こちらによる問い合わせと薄々察していたのでしょう。
騒動が緊迫化した直後、いともあっさり活動休止を決めたのは、旅先の人々の心情を慮ったという事情によります。旅先で世話になっている店の動静は気になりました。しかし、飲食店は地元の御常連により支えられてきたものであり、余所者はお邪魔をさせていただく分際に過ぎません。それだけに、年に一度か二度行くのがせいぜいの人間が、非常時にもかかわらず常連面して行くのが憚られたのでした。活動の再開にあたっても、風評被害が当分残ると予想される中、招かれざる客になりはしないかという懸念は残っていただけに、歓迎してもらえたのはこちらとしてもありがたく感じられました。
店主からは頼もしい一言もありました。いつでも来てもらえるよう、これからも頑張るというものです。その気概に応えるためにも、努めて福井に足を運びたいものだと思います。次は冬場にお会いしましょう...

紋や
福井市中央3-4-6
0776-23-0040
1700PM-2400PM
日曜定休(連休の場合は最終日休業)

早瀬浦二合
伝心
突き出し(焼茄子ゼリー寄せ)
お造り盛り合わせ
地鶏四種焼き
竹田のあげ焼き
いくら二色漬け
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豊穣の福井を行く 2020 - 右往左往

2020-09-20 21:04:36 | 北陸
三月の高知以来、半年ぶりの宿泊です。出発から578km走って福井に着きました。投宿し、風呂から上がってさっぱりしたところです。
当地での定宿といえばフクイキャッスルですが、今夜はあいにく満室につき、初見の宿の世話になります。常々申している通り、一度でも泊まった宿とそうでないところでは、投宿までの手間が何かと違ってくるものです。それはもちろん織り込み済みだったものの、今夜は覚悟していた以上に右往左往させられました。
フクイキャッスルを押さえられれば、敷地から少し離れた駐車場にも迷わず入り、手続を済ませ次第一風呂浴びていたでしょう。しかし今夜は風呂に入ってから向かうという一手間が加わりました。それでも当初は比較的楽観していたのです。代わりに手配していたのは、「紋や」の至近の宿でした。銭湯で一風呂浴びてから向かえば、宿から店は数十歩に過ぎません。手間取るとしても駐車だけと高を括っていた次第です。しかしそうでもありませんでした。

最初の誤算は、まず立ち寄った武生の銭湯です。旅のついでに銭湯を訪ね歩くようになってからというもの、銭湯が目立つ場所より路地裏に多いという事実には気付いてきました。しかしこちらの分かりにくさは相当なものでした。表通りに面した神社の脇から、普通車で乗り入れるのが一瞬ためらわれるような狭い路地を分け入って行き、鉤状に曲がった道を三回ほど右左折したその先に明かりが灯っていたのです。右往左往の末にようやく車を止め、手拭い一式を持って暖簾を潜ろうとすると、今度は県外客お断りの張り紙が。公衆衛生を目的とする銭湯が、あろうことか居住地による差別を行うという異常事態です。世知辛いご時世を象徴するかのような一幕でした。是非はともかく、これでは取り付く島がありません。幸い福井にも銭湯は多々あるため、手近なところに寄れればよいと目標を切り替えました。
その時点で唯一懸念されたのは、代わりに向かった先でも同じ仕打ちを受けはしないかということですが、待っていたのはそれ以上の誤算でした。一軒目と比べても大差のない住宅地の中の路地に入るも、あるべき場所に銭湯の灯りが見当たらず、同じ場所を二周もしてしまいました。挙げ句の果てに気付いたのは、灯りの消えた店先に、何らかの張り紙が出ていることです。文面を確かめずにそのまま走り去ったのは、真相を知ったところで仕方ないからでもありますが、それどころではなかったという事情もあります。というのも、福井市街に入った頃から降り出した雨が、車外へ出るにも難儀するほどの土砂降りになってしまったのです。代わりとなりうる銭湯の心当たりはあるものの、立て続けに振られた後で、土砂降りの中をさらに走っていく気力が失せたとでも申しましょうか。日中はかなりの汗をかいたため、宿のユニットバスで妥協をしたくないという思いは残りながらも、四の五のいわず投宿するという緊急措置を採りました。しかしまだまだ終わりません。
宿には迷うことなく到着したものの、敷地内の駐車場は埋まっていたため、近くの提携駐車場を聞き出して、そちらに止めるという流れです。ところが、傘を差しても濡れるほどの土砂降りだけに、ひとまず路上に駐車して、フロントへ駆け込むだけでも一筋縄には行きません。しかも、案内された三ヶ所のうち一ヶ所目は満車、二ヶ所目は通り沿いから入りにくく、最後の砦となるべき三ヶ所目へ向かうも、今度は別の駐車場に入ってしまい、一旦止まってから気付いて止め直すという羽目に。この雨の中では荷物を下ろすこともできません。後回しにしてともかく向かうと、拍子抜けするような結末が待ち構えていました。何のことはない、宿に大浴場があったのです。

結果として、武生からまっすぐ走れば、最低でも小一時間は早く着き、雨にも降られなかったということになります。その後で降られた可能性はあるものの、ほぼ隣といってもよい「紋や」まで歩くだけなら造作もありません。大浴場はないと勝手に思い込んでいたばかりに右往左往してしまったという点では、とんだ独り相撲でもありました。
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豊穣の福井を行く 2020 - 築堤

2020-09-20 16:44:30 | 北陸
敦賀から並走してきた旧線と国道は、葉原の集落で二手に分かれます。右に弧を描きつつ、最短経路に近い形で今庄へ向かっていく国道に対し、旧線が辿るのは海側へ大きく回り込むかのような線形です。国道の高架橋から眺めると、鉄道の遺構だと一目で分かる築堤が、上下線で大きく分かれた北陸道の中間に延びていました。山間ながらも開けた場所に、緩やかな弧を描きながら延びていく線形が絵になっています。在りし日は名撮影地だったのだろうと思わせる眺めです。
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豊穣の福井を行く 2020 - 樫曲隧道

2020-09-20 16:07:58 | 北陸
秋の日は釣瓶落とし、日中の残り時間はもう長くありません。しかし、お誂え向きの使い道があります。旧北陸本線の樫曲隧道を訪ねました。
北陸トンネルの開通まで、敦賀の先には重畳たる峠越えが控えていました。その跡を一部とはいえ車で通行できること、トンネルの大部分が現存していることについては、三年前に訪ねたときにも述べました。その時は序盤で暗くなってしまい、デジタルカメラの感度を上げてどうにか記録しましたが、敦賀側の一部については切るしかありませんでした。あのときとは逆方向から辿っていくことにより、取りこぼしを拾っていこうという寸法です。その狙いは的中し、並走する国道の傍では石積みの坑門が弱い西日を浴びていました。
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豊穣の福井を行く 2020 - 敦賀鉄道資料館

2020-09-20 13:20:59 | 北陸
出発前から微妙だったのが本日の予報です。おおむね晴れると予想された連休初日とは違い、翌日の予報は晴と曇に分かれていました。要はそれだけ読みづらかったということでしょう。しかし、結果としてはどちらも一応的中したことになります。「一応」というのは、晴と思えば晴、曇と思えば曇ともいえる中途半端な空模様だからです。残念ながら、列車を撮るには今一つの条件となってしまいました。とはいえ使い道がないわけではありません。移動の前に敦賀港を訪ねます。
初めてここを訪ねたのは、全国各地の貨物線、専用線を訪ね歩いていた二昔と少し前です。貨物線はその後役目を終えたものの、駅の跡地が整備され、見学可能な施設ができたと聞きました。噂を聞いて訪ねたところ、その正体は駅の跡地そのものではなく、周辺の埠頭と倉庫が公園として整備されたものでした。中でも見所というべきは、岸壁の公園の一角にある敦賀鉄道資料館なる施設です。ここから長浜まで南下する路線が、現代に続く北陸本線の原型であり、北陸における鉄道の始まりでもありました。鉄道発祥の地にちなんだ展示施設が、長浜に続き敦賀にもできたことになります。
開業当時の駅舎をそのまま転用した長浜鉄道スクエアと違い、こちらの建屋はかつての駅舎を模したもので、展示についてもささやかです。しかし、要衝の座を米原に譲った長浜とは違って、敦賀は今も日本海縦貫線の要衝であり続けています。その歴史の重みを感じさせる展示は一見の価値ありです。
年表を主体にした二階の展示室に対し、玄関脇の休憩室では「敦賀鉄道物語」と題する映像資料が放映されます。それらによって今更ながら知ったのは、ここまで走ってきた道が、実はかつての線路だったということです。まず港の方へ向かう形で線路が敷かれ、福井へ延長されるときもスイッチバックで分岐していたという歴史は、初代横浜駅こと桜木町駅にも通ずるものがあります。スイッチバックをなくすための新線が造られ、その途上に本線の駅が移転したという歴史についても同様です。ただし、新線を直線状に分岐させた横浜と違い、こちらでは旧線が港へ直進していました。緩やかに弧を描く敦賀駅の構内も、そのような歴史を知れば納得です。D51の1号機が当地に新製配置されたことも初耳でした。いずれも敦賀の要衝たる所以を物語る逸話です。
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豊穣の福井を行く 2020 - ヨーロッパ軒

2020-09-20 11:30:24 | B級グルメ
中津川から再び中央道に乗り、名神と北陸道を経由して敦賀に着きました。木曽路を経由したことで、一時間以上余計に消費することにはなったものの、結果としては丁度よかったともいえます。ヨーロッパ軒の開く時間に頃よく重なったからです。
四連休の只中だけに、開店早々長蛇の列ができはしないかという懸念はありました。その一方で、どうにかなるだろうという期待もありました。それぞれかなりの収容力を持つ分店が、市内に五つもあるからです。果たして予感は的中し、唯一未踏となっていた岡山店へ向かったところ、店内はあらかた埋まっていたものの、一番奥のボックス席に通されるという結果でした。ただしこれは間一髪でもありました。自分が入った直後から待ち客が出始めたのです。
四人掛けでも余裕がある広いテーブル席だけに、この状況なら相席にしてもおかしくはなさそうなところです。しかるにそれをしないのは、巷で話題の社会的距離とやらに配慮してのことでしょうか。真相のほどはさておき、心置きなくいただけたのは助かりました。

ヨーロッパ軒 敦賀岡山店
敦賀市岡山町2丁目804
0770-22-2468
1100AM-1900PM(LO)
月曜及び火曜定休
カツ丼990円
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豊穣の福井を行く 2020 - 木曽路

2020-09-20 08:07:05 | 甲信越
高速道を飛ばすことは、時間を金で買うようなものともいえます。ただし、失うものが金だけとは限りません。速達性を求めるほど、移動手段は無味乾燥なものとなり、それと引き換えに旅情も失われるからです。時間を取るか、旅情を取るかの二者択一で選んだのは後者でした。伊那から権兵衛峠を経て木曽路を下り、野尻駅で二度目の休憩をとったところです。
福井の遠さは出発の前にも語った通りです。まだまだ先は長いだけに、悠長に一般道を下っていくことについてはためらいもありました。しかし、木曽路には曰く言い難い街道筋の旅情があります。幹線国道の多くが、元々あった街道をなぞってはいるものの、開けた場所であればあるほど、高規格の新道に付け替えられるのが常です。木曽川の流れに沿った狭い谷を延々下って行くからこそ、街道の旅情がそのまま残ったと見ることもできます。金では買えないその旅情を、時間と引き換えにして選んだ次第です。
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豊穣の福井を行く 2020 - 地味な場所

2020-09-20 06:07:25 | 甲信越
福井まで直行したいという考えがある一方で、無味乾燥な高速道を延々走り続けるのが、年を追うほど苦痛に感じられてきます。走っていて多少なりとも楽しいのは中央道です。甲府盆地で一般道に下りつつも順調に飛ばし、中央道原で最初の休憩をとりました。
もう少し走れば諏訪湖のサービスエリアです。休憩するなら眺めのよいあちらにしたいところでした。しかるにあえて地味な場所を選んだのは、交通量が思ったよりも多いという事情によります。渋滞まではしないものの、日曜の早朝でこれかと思うほどの交通量です。こちらと同様、久々の遠出をした行楽客が多いのでしょう。社会的距離なるものが声高に叫ばれる世知辛いご時世、混み合うのが明らかな諏訪湖を避けた次第です。
交通量の少ない道を快走する場面を思い描いたはずが、この調子ではそうも行かなくなってきます。しかし、県境を越えるだけでも不要不急と詰られた頃のことを思えば、各地から来た車が行き交うようになったことをむしろ歓迎すべきでしょう。あくまで前向きに受け止めます。
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豊穣の福井を行く 2020 - 糸合シ由

2020-09-20 04:12:59 | 関東
半年足止めされたものの、週末の買い出しなどで少しずつ距離を稼いでいき、六月に補給した燃料を七割方消費しました。福井まで走破するのは当然無理です。給油を済ませてから高速道に乗ります。
オドメーターは227645kmとなっており、通算23万kmまであと2500kmを切りました。流動的な部分はまだまだあるものの、活動を本格的に再開すれば、来月中の達成も視野に入ってきそうです。
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