日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

更待月

2020-09-08 22:58:01 | 旅日記
満月から一週間近くが経てば、月の出も相当遅くなってきます。屋外での晩酌は先週が限度だろうと思っていました。ところがそうでもありません。ほどよい時刻に更待月が昇ってきました。
数日来月夜の下で晩酌したことにより、今更ながら気付いたことが一つあります。月の出が遅くなるほど方位が東へ移っていくということです。満月だった六日前との比較で考えると、今頃は月がほぼ南中しているところでした。しかし、今夜の月は南東に近い方角に昇っています。月の出の方位を調べたところ、六日前の104度が今夜は70度となっており、自身の方向感覚はおおむね合っているようです。それだけ方位が違うにもかかわらず、見上げた高さに大差がないということは、南中する高度もかなり違うのだろうと予想できます。こちらについては40度から68度に上がっており、やはり自身の感覚はおおむね正しいことになります。ただし毎晩同じだけ方角、高度が変わっていくというわけでもなく、明後日からは次第に動きが小さくなって、月の出の方位にして60度、南中の高度にして78度の四日後を境に、今度は逆へ動くようです。
こうなると俄に興味が湧いてくるのは来るべき十五夜と十三夜ですが、まず十五夜は月の出の方位にして94度、南中の高度にして51度となっており、同じ満月であっても今月に比べやや北東から、やや高い空へと昇っていくことになります。十三夜の月の出の方位は90度、南中の高度は55度となっており、十五夜とほぼ同じです。時期により若干の差はあるものの、月の出の方位はおおむね60度から120度の間で、南中の高度は30度から80度の間で変動するため、十五夜と十三夜は方角、高度ともほぼ中間ということになります。ほぼ真東から月が昇り、ほどよい時間、ほどよい高さに南中するのが、名月として愛でられてきた所以なのでしょう。
このようなことが起こるのは、月齢の周期と方位、高度の周期がわずかに異なるためのようです。月の満ち欠けについては意識していたものの、同じ形に見える月でも、季節により方位と高度が変わるとは、恥ずかしながら盲点でした。旅から旅への明け暮れでは気付かなかった、同じ場所で眺め続けたからこその発見と思えば、半年にわたる足止めもあながち無駄ではなかったといえそうです。
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