日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の福井を行く 2020 - 右往左往

2020-09-20 21:04:36 | 北陸
三月の高知以来、半年ぶりの宿泊です。出発から578km走って福井に着きました。投宿し、風呂から上がってさっぱりしたところです。
当地での定宿といえばフクイキャッスルですが、今夜はあいにく満室につき、初見の宿の世話になります。常々申している通り、一度でも泊まった宿とそうでないところでは、投宿までの手間が何かと違ってくるものです。それはもちろん織り込み済みだったものの、今夜は覚悟していた以上に右往左往させられました。
フクイキャッスルを押さえられれば、敷地から少し離れた駐車場にも迷わず入り、手続を済ませ次第一風呂浴びていたでしょう。しかし今夜は風呂に入ってから向かうという一手間が加わりました。それでも当初は比較的楽観していたのです。代わりに手配していたのは、「紋や」の至近の宿でした。銭湯で一風呂浴びてから向かえば、宿から店は数十歩に過ぎません。手間取るとしても駐車だけと高を括っていた次第です。しかしそうでもありませんでした。

最初の誤算は、まず立ち寄った武生の銭湯です。旅のついでに銭湯を訪ね歩くようになってからというもの、銭湯が目立つ場所より路地裏に多いという事実には気付いてきました。しかしこちらの分かりにくさは相当なものでした。表通りに面した神社の脇から、普通車で乗り入れるのが一瞬ためらわれるような狭い路地を分け入って行き、鉤状に曲がった道を三回ほど右左折したその先に明かりが灯っていたのです。右往左往の末にようやく車を止め、手拭い一式を持って暖簾を潜ろうとすると、今度は県外客お断りの張り紙が。公衆衛生を目的とする銭湯が、あろうことか居住地による差別を行うという異常事態です。世知辛いご時世を象徴するかのような一幕でした。是非はともかく、これでは取り付く島がありません。幸い福井にも銭湯は多々あるため、手近なところに寄れればよいと目標を切り替えました。
その時点で唯一懸念されたのは、代わりに向かった先でも同じ仕打ちを受けはしないかということですが、待っていたのはそれ以上の誤算でした。一軒目と比べても大差のない住宅地の中の路地に入るも、あるべき場所に銭湯の灯りが見当たらず、同じ場所を二周もしてしまいました。挙げ句の果てに気付いたのは、灯りの消えた店先に、何らかの張り紙が出ていることです。文面を確かめずにそのまま走り去ったのは、真相を知ったところで仕方ないからでもありますが、それどころではなかったという事情もあります。というのも、福井市街に入った頃から降り出した雨が、車外へ出るにも難儀するほどの土砂降りになってしまったのです。代わりとなりうる銭湯の心当たりはあるものの、立て続けに振られた後で、土砂降りの中をさらに走っていく気力が失せたとでも申しましょうか。日中はかなりの汗をかいたため、宿のユニットバスで妥協をしたくないという思いは残りながらも、四の五のいわず投宿するという緊急措置を採りました。しかしまだまだ終わりません。
宿には迷うことなく到着したものの、敷地内の駐車場は埋まっていたため、近くの提携駐車場を聞き出して、そちらに止めるという流れです。ところが、傘を差しても濡れるほどの土砂降りだけに、ひとまず路上に駐車して、フロントへ駆け込むだけでも一筋縄には行きません。しかも、案内された三ヶ所のうち一ヶ所目は満車、二ヶ所目は通り沿いから入りにくく、最後の砦となるべき三ヶ所目へ向かうも、今度は別の駐車場に入ってしまい、一旦止まってから気付いて止め直すという羽目に。この雨の中では荷物を下ろすこともできません。後回しにしてともかく向かうと、拍子抜けするような結末が待ち構えていました。何のことはない、宿に大浴場があったのです。

結果として、武生からまっすぐ走れば、最低でも小一時間は早く着き、雨にも降られなかったということになります。その後で降られた可能性はあるものの、ほぼ隣といってもよい「紋や」まで歩くだけなら造作もありません。大浴場はないと勝手に思い込んでいたばかりに右往左往してしまったという点では、とんだ独り相撲でもありました。
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